今年から,ブログの内容をガラッと変えます.
具体的には,(ほぼ)毎日,家庭医療学と医学教育学の論文を紹介します.
さぼりがちな自分にとって,日々の積み重ねが習慣になればよいなと思います.
First authorは,現在福島県立医科大学にいらっしゃる高田俊彦先生ですね.
背景
プライマリケアでは検査が過剰に使用されていることが認識されているが、その使用を減らすための最善の方法は不明である。
目的
プライマリケアにおけるlow-valueな検査の使用を減らすのに有効な戦略は何かを明らかにする。
方法
MEDLINE, EMBASE, Rx for changeを用いて,プライマリケアにおけるlow-valueな検査の使用を減らす戦略を評価したRCTを収集した.2人のレビュアーが適格なRCTを選択し、データを抽出し、バイアスのリスクを評価した。
結果
レビューに回された16のRCTのうち、11のRCTではlow-value検査の使用が統計学的に有意に減少していると報告された。対照群に比する介入群の相対減少率の中央値は17%(四分位間範囲12%~24%)であった。リマインダーやaudit/フィードバックを用いた戦略は、これらの要素を用いない戦略よりも減少幅が大きく(リマインダーで22% vs 14%、audit/フィードバックで22% vs13%)、また,患者を対象とした戦略は、患者を対象としていない戦略よりも減少幅が大きかった(51% vs 17%)。
結論
特にリマインダー、audit/フィードバック、患者を対象とした介入を含む複数の構成要素を導入することで、プライマリケアでlow-valueな検査の使用を減らすことが可能であることが示された。これらの戦略をプライマリケアの現場で広く実施するためには、その有効性を調査するだけでなく、有害事象、費用対効果、患者報告アウトカムについても調査する必要がある。
感想
自省を込めて,たしかにlow-value testは多いですね(リスクがない慢性疾患定期通院患者に毎年脂質を測定していたり…).検査しておいて損することはないだろう,という心理が働いているような気がしています.audit/フィードバックで,この検査はすべきではないと指摘されると,安心して検査を行わないという選択を取ることができるようになるのでしょうか.この辺りは,どうしてlow-value testをしてしまうのかという質的探索ができそうです.
low-value testを減らすのに患者を対象とする介入を行うというのが面白いですが,実感としても有効だろうなと思います.いかに上手に共通の理解基盤を作るかが肝であり,アートの世界なのかもしれません.