2021年1月28日木曜日

非緊急のER受診患者をGPが診る

 Leigh S, Mehta B, Dummer L, Aird H, McSorley S, Oseyenum V, Cumbers A, Ryan M, Edwardson K, Johnston P, Robinson J, Coenen F, Taylor-Robinson D, Niessen LW, Carrol ED. Management of non-urgent paediatric emergency department attendances by GPs: a retrospective observational study. Br J Gen Pract. 2020 Dec 28;71(702):e22-e30. doi: 10.3399/bjgp20X713885. PMID: 33257462

https://bjgp.org/content/71/702/e22.short?rss=1

背景

小児では、緊急性のない救急受診がよくみられる。プライマリケアでのマネジメントは、臨床的により適切であるだけでなく、患者の経験を向上させ、より費用対効果の高いものになる可能性がある。

目的

GPを小児救急に統合した場合の入院、待ち時間、抗菌薬の処方、治療費への影響を明らかにする。

デザインとセッティング

イングランド北西部の小児救急部における非緊急の救急受診を調査した後方視的コホート研究。

方法

2015年10月1日から2017年9月30日まで毎日,午後2時から午後10時まで、GPが救急部に配置された。マンチェスター・トリアージ・システムを使用して「緑」(非緊急)とトリアージすべての小児は、「GPの診察が適切」とみなされた。GPが診察できない場合には、非緊急と判断された小児は、救急スタッフによって管理された。2年間にわたり,同じ時間帯で,GPの管理と救急スタッフの管理との間で,小児の臨床的あるいは業務的アウトカム、ならびに医療費について比較した。

結果

調査期間中に救急受診した小児115,000人のうち、「GPが適切」と分類された13,099人の完全なデータが利用可能であり、そのうち8,404人(64.2%)はGPが管理し、4695人(35.8%)は救急スタッフが管理した。救急室滞在時間の中央値はGP群で39分(四分値間範囲[IQR]16-108分)、ED群で165分(IQR104-222分)であった(P<0.001)。GP群の小児入院する可能性が低く(オッズ比[OR] 0.16;95%信頼区間[CI]=0.13~0.20)、入退院までに4時間以上待つ可能性が低かった(OR 0.11;95%CI =0.08~0.13)が、抗菌薬の投与を受ける可能性が高かった(OR 1.42;95%CI =1.27~1.58)。治療費はGPが管理する群で18.4%低かった(P<0.0001)。

結論

小児救急サービスの需要が高まっていることを考えると、GPによる救急部でのケアのモデルは非緊急の救急受診患者の管理を改善する可能性がある。しかし、因果関係のある研究デザインを取り入れた更なる研究が必要である。

感想

もちろん,GPが救急医より優れているという話ではなく,非緊急患者だったらGPが力になれますよ,という解釈が妥当だと思う.当然,GP個々人の技量によるので,小児救急で一定水準のパフォーマンスができるように訓練を積むことが大事だと感じた.個人的には,非緊急だと思ったが実は緊急だった(便秘による腹痛だと思ったら虫垂炎だった,熱性けいれん後だと思ったら二相性脳症だった,風邪だと思ったら心筋炎だったなど)ケースをGPがちゃんと拾えているか,そしてGPが診察することに関する保護者の受け入れはどうか,という点が気になった.小児救急を診る際に自分が一番心配になる点なので.