2021年1月7日木曜日

緩和ケアが手遅れになってはいないだろうか.

Stow D, Matthews FE, Hanratty B. Timing of GP end-of-life recognition in people aged ≥75 years: retrospective cohort study using data from primary healthcare records in England. Br J Gen Pract. 2020 Nov 26;70(701):e874-e879.

https://bjgp.org/content/70/701/e874.short?rss=1

背景

質の高い個別化された緩和ケアはすべての人に提供されるべきであるが、高齢者の終末期を時宜に適って認識することは、高齢者の終末期ケアの障壁となる可能性がある。

目的

75 歳以上の高齢者を対象に,プライマリケアにおいて終末期だと認識した時期,緩和ケア登録、終末期における望みに関する記録内容を調査する。

デザインとセッティング

英国のGP診療所の34%をカバーする全国規模のプライマリケア記録データを用いた後方視的コホート研究。

方法

2015年1月1日から2016年1月1日までの間に英国で死亡した75歳以上の人の電子カルテ記録のResearchOneデータを調査した。終末期であることの認識、緩和ケア登録、終末期の望みに関する臨床コードを抽出し、コード入力から死亡までの経過月数を算出した。各アウトカムのタイミングと関連する 電子カルテ記録の割合を報告した。

結果

1年間の研究期間中、ResearchOneのデータには合計13149人の死亡が記録された。そのうち、6303人(47.9%)の記録には、死亡月よりも前の時点で終末期が認識されていたことを示唆するコードが含まれていた。うち2248件(17.1%)の記録では、死亡の12ヵ月以上前に認識されていた。緩和ケア登録は総計で1659人(12.6%)になされており、うち457人(3.5%)が死亡の12カ月以上前に登録されていました.2987人(22.7%)の記録には患者がケアを受ける場所の希望についてのコードがあり、1713人(13.0%)には希望する死亡場所のコードがありました。死亡場所の希望が記録されている場合は、介護福祉施設(n=813、47.5%)と本人の自宅(n=752、43.9%)が最も一般的であった。

結論

プライマリケアにおいて終末期と認識されるのは、死亡間近であり、かつ75歳以上であってもそのうちの少数でしか起こらないように思われる。本研究の知見は、高齢者の死を医療専門家が予測しておらず、緩和ケアへの公平なアクセスが損なわれている可能性を示唆している。

感想

プライマリケア医の死期予想は甘い,という従来から知られている傾向は,本研究でも同様の結果であった.緩和ケアのアクセスについて論じるときの基本データとなる研究である.