2021年1月27日水曜日

多疾患併存患者の尿失禁

 Jacob L, López-Sánchez GF, Oh H, Shin JI, Grabovac I, Soysal P, Ilie PC, Veronese N, Koyanagi A, Smith L. Association of multimorbidity with higher levels of urinary incontinence: a cross-sectional study of 23 089 individuals aged ≥15 years residing in Spain. Br J Gen Pract. 2020 Dec 28;71(702):e71-e77. doi: 10.3399/bjgp20X713921. PMID: 33257465

https://bjgp.org/content/71/702/e71

背景

マルチモビディティ患者における尿失禁の有病割合は比較的高いと考えられるが、この分野の文献は乏しい。GPが尿失禁のリスクのある患者を特定し、早期の治療と集学的管理を開始するためには、さらなる堅牢な研究が必要である。

目的

スペイン在住の15歳以上の23,089人を対象に、マルチモビディティと尿失禁の関連性を検討する。

デザインおよびセッティング

本研究では、スペイン在住の15歳以上の参加者23,089人(女性54.1%、平均[標準偏差]年齢=53.4[18.9]歳)の横断的サンプルであるスペイン国民健康調査2017のデータを使用した。

方法

尿失禁およびその他30の身体的および精神的慢性疾患を自己申告してもらった。マルチモビディティを、2つ以上の身体的および/または精神的慢性疾患(尿失禁を除く)の存在と定義した。コントロール変数には、性別、年齢、配偶者の有無、教育、喫煙、および飲酒量が含まれた。マルチモビディティと 尿失禁との関連を評価するために、多変量ロジスティック回帰分析が実施された。

結果

このサンプルでは、尿失禁の有病割合は5.9%であった。尿失禁は,30の慢性疾患のどれかがある場合の方が、どれもない場合と比べ,頻度が高かった(P<0.001)。尿失禁がある人の割合もまた、マルチモビディティ群では非マルチモビディティ群よりも高かった(9.8%対0.7%、P<0.001)。いくつかの潜在的交絡因子(すなわち、性別、年齢、配偶者の有無、教育、喫煙、アルコール)を調整した後で、マルチモビディティと尿失禁の間には有意に正の関係があった(オッズ比=5.02、95%信頼区間[CI]=3.89~6.59、P<0.001)。

結論

この15歳以上のスペイン人の大規模サンプルでは、マルチモビディティがあることが尿失禁に有意に関連していた。

感想

またもやマルチモビディティの研究.尿失禁はunderestimateされがちだし,目の付け所がシャープですよね.私は高齢患者には時々CGAをとるようにしていますが,引き続き意識的に尿失禁についての質問をしていかなければいけないと思いました.