2021年1月25日月曜日

キーワードを拾い集める症例問題が人種差別に与える影響

Mosley MP, Tasfia N, Serna K, Camacho-Rivera M, Frye V. Thinking with two brains: Student perspectives on the presentation of race in preclinical medical education. Med Educ. 2020 Dec 23. doi: 10.1111/medu.14443. Epub ahead of print. PMID: 33354809.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/medu.14443?af=R文脈
医学生が教育を受けているうちに,「人種」は生物学的な構成要素であり、「人種」に基づいて患者を差別的に治療することが臨床的に有益であると考えるようになることが懸念されている。医学生に「人種」がどのように提示されるかは、医学生の暗黙のバイアスと将来の臨床実践の両方に影響を与え、医療における人種格差を拡大させる可能性がある。方法
米国北東部の大都市圏にある公立医学部に通う臨床にでる前の医学生22人(うち大半が白人ではない)を対象にin-depth interviewを行った。インタビューの内容は、医学生が医学教育における人種の提示をどのように経験しているか、学習経験の中で人種を利用しているか、将来の臨床で医師として人種を利用することをどのように想定しているかに焦点を当てた。文字起こししたデータをフレームワーク法を用いて分析し、新たなテーマを抽出した。結果
参加者は、国家試験形式の問題で人種の提示を最も意識し、講義中では人種の提示を最も意識しないと回答した。参加者は、問題解決型学習(PBL)モジュールで、人種と疾患の関連性が高いと思われるケースを題材にしている場合、人種を意識していると答えた。また参加者は,講義中の人種の提示方法に不正確さがあり、人種による健康格差の原因についての説明が不十分であることを見つけていた。参加者は、人種による自己認識を行うための準備ができていないと感じ、患者の診断における人種の有用性について複合的なメッセージを受けたと述べている。参加者からは、国家試験形式の問題や講義での人種の提示について、認知的不協和を感じた経験があることの報告があった。結論
「人種」の提示または「人種」についての指導を批判的に評価することは,人種が提示されたのは生物医学的構成概念としてか社会的構成概念としてか,カリキュラムの内容における人種の分類がどの程度正確か、人種と疾患の関連性の原因とメカニズムは何かについて対処するために,不可欠である.このことは、生物学的構成概念としての人種についての誤った思い込みや、その結果としての臨床ケアへの悪影響を最小限に抑える可能性を秘めている。今後は、国家試験形式の問題や教条的な講義とは対照的に、問題に基づく学習や体験型学習(OSCE)が、健康や病気における人種に関する学生の教育に最も効果的な方法であるかどうかを評価するような研究が求められる.さらに、教員の使命(すなわち社会的使命)と集団の構成(大半が白人の機関もあれば,歴史的に黒人が大学)が、人種の提示に関する学生の経験に影響を与えるかどうかを調査するような研究が望まれる.感想
日本だと「〇〇歳男性」とはじまる症例問題が,米国だと人種がかかれており,そういったキーワードを拾い集めて問題の答えを出す,ということが行われるわけで,それが不適切な人種差別につながりはしないか,という問題意識なのだと思います.