2022年12月22日木曜日

高齢者は多剤服用を習慣として受け入れている


Adamson J, Hanson H, Todd A, Duncan R, Hanratty B, Robinson L. 

“No trouble at all” - medication work amongst nonagenarians: a qualitative study of the Newcastle 85+ cohort participants at 97

Br J Gen Pract 2022 Nov 22. DOI: https://doi.org/10.3399/BJGP.2022.0188


85歳以上の高齢者が、ポリファーマシーに対してどのように対応しているかを探る質的研究です。20名にインタビューしています。

興味深いことに、多くの場合、服薬の自己管理にはかなりの労力が必要にもかかわらず、高齢者自身はそれを問題視していませんでした。

服薬がルーチンとして習慣化されていて、食事や入浴と同じような経験となっています。


しかし、あたらな診断による投薬の変更や、ライフイベントの後など、これまでの安定状態が変化した場合には、服薬管理が途端に困難になることが分かりました。


服薬をしっかり自己管理できている高齢者って確かに多いよな、とおもいますし、しっかり薬を飲むことが習慣化されているという指摘はなるほどと思います。

ライブイベントや投薬変更時にサポートを注力するのがよさそうです。



2022年12月15日木曜日

在宅終末期ケアの質と関連する因子


ElMokhallalati Y, Chapman E, Relton SD, Bennett MI, Ziegler L.
What characterises good home-based end-of-life care: Analysis of 5-year data from a nationwide mortality follow-back survey in England
Br J Gen Pract 2022 Dec 13. DOI: https://doi.org/10.3399/BJGP.2022.0315

在宅医療における良質な終末期ケアの特徴を明らかにするために行われた研究です。
対象は、2011年から2015年に英国で登録された246,763人の死亡例のうち、110,311件の死亡追跡調査から抽出した,人生の最後の3か月間を自宅で過ごした63,598人です。

終末期ケアの質が高かったと親族が認識することに関連する因子は以下の通りでした。
・プライマリケアの良好な継続性があった
・緩和ケアを支援してくれた
・がん死亡、病院外で死亡

また、高齢であること、女性であること、社会経済的剥奪が最も少ない地域出身であること、白人であることが、ケアの質の高さと関連がありました。

以上より、質の高い在宅終末期ケアとして、プライマリケアの継続性の高さが重要な要因である可能性が示唆されました。
また、社会的に周縁化されている人々に公正で質の高いケアを提供する方略を考える必要性が示唆されました。