Ganotice FA Jr, Gill H, Fung JTC, Wong JKT, Tipoe GL. Autonomous motivation explains interprofessional education outcomes. Med Educ. 2020 Nov 28.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/medu.14423?af=R
目的
専門職間教育(IPE)は一見すると,理論がない、あるいは理論化されていないように見えるが、この量的研究は、自己決定理論(self-determination theory: SDT)を用いて、学生の行動や協働のアウトカムを説明できる動機付けのメカニズムを明らかにしようとする。SDTは様々な文脈で研究されてきたが、IPEへの適用可能性についてはまだ十分な研究がなされていない。本研究では、自律性、能力、関連性といった感覚に対する学生の求めを充足することがどのようにIPEの望ましい成果に結びついているのかを探ることで、IPEにおける学生の動機づけを理解するための新しい視点を統合することを目的としている。
方法
定量的手法を用いて、IPEでの抗凝固療法モジュールを履修している香港の医学生、看護学生、薬学生,計255名を対象とした。学生には、post-testの一環として、心理的必要性満足度調査票(Psychological Need Satisfaction Questionnaire)などの回答を求めた。
結果
自律性の感覚は、行動のアウトカム(集団的献身、行動的エンゲージメント)と協働のアウトカム(チームの有効性、目標達成)に対する最も強い正の予測因子であった。これらのアウトカムには、行動的エンゲージメントを除いて、プログラムレベルでの有意な差は見られなかったが、看護学生は医学生よりも高い認識を持っていた。
結論
IPEにおける行動と協働のアウトカムを理解する上で、SDTが意味のあるフレームワークであることを実証することができた。本研究の主な理論的貢献は、行動のアウトカムのばらつきを説明するのに学生の動機付けに拠ることができるという点にある。すなわち、自律性の感覚が、チームの有効性、集団的献身、行動的エンゲージメント、目標達成を一貫して予測していた。保健医療学生のサンプルにおける自律的動機付けは、行動のアウトカムを説明することができる。理論的、方法論的、実践的な意味合いが議論されるべきである。
感想
IPEの学習効果は学生の自律性の感覚から正の影響を受けるということを量的に示している研究.量的研究では測定するべき因子をどのように決定するかが肝だと痛感した.自己決定理論は学習者の動機付けについて学習する際に必ず出てくる理論であり, 自律性autonomy, 能力competence, 関連性relatednessが動機づけに影響するというものだが,この3要因を説明変数として研究に使うことができるというのが発見だった.
SDTの3要素については,既存の質問紙を使用している.アウトカムについては,以下の質問をLikertで測定している.
どうしてこの4要素が出てきたのかについてははっきりとした記載がなかった.お決まりの項目なのだろうか.
チームの有効性(Team effectiveness):the perception of team members about the performance of the team after the intervention which is the IPE (e.g., I am satisfied with the performance of my team.”).
集団的献身(Collective dedication): Engagement Questionnaireを使用している.4項目 (e.g., My group was involved in the task”)からなる.
行動的エンゲージメント(Behavioural engagement):Delaware Student Engagement Scaleを使用している.
目標達成(Goal achievement) the perception of the team members about how the program enabled them to attain interprofessional competencies. プログラム特異的な質問紙を使用している(e.g., “After attending the Online IPE, to what extent are the following competencies developed in you as future health professionals: respectful communication and collaborative decision making).
なお,行動的エンゲージメントについては以下の通り.:論文(DOI: 10.6018/analesps.31.3.176981)から下に引用.
Behavioral engagement has been defined as interactions with the academic setting that are active, goal driven, flexible, constructive, and persistent . According to these authors, some indicators of behavioral engagement in academic contexts are planning, effort, on-task attention, concentration, hard work, persistence, time expended, attendance, voluntary participation, task involvement, and follow classroom rules and norms. Frequently, this behavior was accompanied by emotions such as enthusiasm, interest, enjoyment, satisfaction, pride, and vitality.