2021年1月19日火曜日

末梢神経障害は死亡と関係している

 Hicks CW, Wang D, Matsushita K, Windham BG, Selvin E. Peripheral Neuropathy and All-Cause and Cardiovascular Mortality in U.S. Adults : A Prospective Cohort Study. Ann Intern Med. 2020 Dec 8. doi: 10.7326/M20-1340. Epub ahead of print. PMID: 33284680.

https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-1340

背景

糖尿病がないとしても末梢神経障害はよくある病態であることを示すエビデンスが増えている。しかし、一般集団における末梢神経障害の臨床的後遺症については定量評価されていない。

目的

米国の一般成人集団における末梢神経障害と全死因死亡および心血管死亡との関連を評価すること。

デザイン

プロスペクティブコホート研究

設定

NHANES(国民健康・栄養調査)、1999年~2004年。

参加者

末梢神経障害に関する標準化されたモノフィラメント検査を受けた40歳以上の成人7116人。

測定法

人口統計および心血管リスク因子を調整した後の全死亡率および心血管死亡率と末梢神経障害の関連を評価するためCox回帰を行った.糖尿病の状態によって層別化した。

結果

末梢神経障害の全有病率(±SE)は13.5%±0.5%(糖尿病のある成人では27.0%±1.4%、糖尿病のない成人では11.6%±0.5%)であった。中央値13年間の追跡期間中に、2128人の参加者が死亡し、そのうち488人は心血管の原因によるものであった。全死因死亡の発生率(1000人年当たり)は、糖尿病および末梢神経障害を有する成人で57.6%(95%CI、48.4~68.7%)、末梢神経障害を有するが糖尿病を有さない成人で34.3%(CI、30.3~38.8%)、糖尿病を有するがPNを有さない成人で27.1%(CI、23.4~31.5%)、糖尿病を有さないがPNを有さない成人で13.0%(CI、12.1~14.0%)であった。調整モデルでは、糖尿病のある参加者では、末梢神経障害は全死因死亡(ハザード比(HR)1.49[CI:1.15~1.94])および心血管死亡(HR 1.66[CI:1.07~2.57])と有意に関連していた。糖尿病のない参加者では、末梢神経障害は全死因死亡率と有意に関連していた(HR 1.31[CI:1.15~1.50])が、末梢神経障害と心血管死亡率との関連は調整後では統計的に有意ではなかった(HR、1.27[CI、0.98~1.66])。

限界

有病率の高い心血管系疾患については自己申告であり、末梢神経障害はモノフィラメント検査のみで定義された。

結論

末梢神経障害は、糖尿病がない場合でも、米国の集団では一般的であり、死亡率と独立して関連していた。これらの所見は、足の感覚の低下が一般集団では死亡の危険因子として認識されていない可能性を示唆している。

感想

糖尿病患者では足の診察をできるだけするようにはしているが,糖尿病がない場合でも末梢神経障害がみられることがあり,それが死亡とも関係しているという,インパクトが大きい研究.本文を読むと,糖尿病には至らないまでも代謝系の異常が背景にあるのではという考察がされている.