Heins M, Korevaar J, Schellevis F, Rijken M. Identifying multimorbid patients with high care needs - A study based on electronic medical record data. Eur J Gen Pract. 2020 Dec;26(1):189-195. doi: 10.1080/13814788.2020.1854719. PMID: 33337928.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13814788.2020.1854719?af=R
背景
総合診療の受診、救急医療の利用、計画外の入院を頻繁にしているマルチモビディティの患者は、積極的な統合ケアによる介入から恩恵を受けることができるかもしれない,総合診療医は、これらの「ニーズの高い」患者が誰であるかを常に把握しているわけではない。電子カルテはこれらの患者を特定するための潜在的な情報源である。
目的
マルチモビディティ患者の総合診療の電子カルテから治療ニーズが高いことを予測する因子を見つけ出し、その予測値を評価すること。
方法
2 以上の慢性疾患を持つ患者 245,065 人の総合診療の電子カルテを病院請求データにリンクさせた。プロビット回帰分析が行われ、i) 総合診療への受診が年間12回以上あること、ii) 救急部門の受診、およびiii) 計画外の入院を予測した。予測因子は、患者の年齢、性別、罹患率、医療サービス、および前年の医療薬使用であった。
結果
マルチモビディティ患者の11%が、前年の総合診療の受診回数が12回以上であった.これは,前年の受診回数によって信頼のおける予測が可能であった(PPV 42%)。すべての予測因子を含むモデルの予測値はわずかに良好であった(PPV 44%)。救急外来受診と計画外入院(マルチモビディティ患者において12%と7%)の予測精度は低かった(PPVはそれぞれ 27%と20%)。総合診療に頻繁に受診した人は、救急外来を受診した者(29%)や計画外入院をした者(17%)とほとんど重ならなかった。
結論
マルチモビディティ患者の中には、様々な「ニーズの高い」グループが存在する。総合診療のニーズが高い患者は、以前に総合診療を受けたことがあるかどうかで特定することができる。頻繁に救急外来を受診している患者や計画外の入院をしている患者を特定するためには、追加の情報が必要である。
感想
家庭医を頻繁に受診する人と,救急外来を受診する人,予定外入院をする人は,違う集団ですよということを示した研究.解釈は様々で,家庭医療でいろいろ頑張っても予定外入院や救急受診は防げないよ(ambulatory-care sensitive conditionは本当に存在するのか,という根源的疑問に突き当たります)という解釈もあるだろうし,家庭医を受診しない人が救急車で搬送されるのだ,という解釈も,本来なら救急車で運ばれていたであろう人が家庭医の頻回受診により避けられたので,という解釈も可能です.