Kawamura R, Harada Y, Shimizu T. Diagnostic Reasoning in General Internal Medicine Consultations: A Text Mining Analysis of Consultation Requests. J Gen Fam Med. 2026 Sep 13;27(5):e70176. doi: 10.1002/jgf2.70176
背景
診断推論は、その多くが内的な思考過程であるため評価することが難しく、診療の質と関連する言語的特徴については十分に明らかになっていない。コンサルテーション依頼文は、医師がその時点で行っている診断的思考を捉えるための有用な手がかりとなる可能性がある。本研究では、総合内科へのコンサルテーション依頼文における言語が、診断推論をどのように反映しているのかをテキストマイニングによって検討した。
方法
日本の大学病院の総合診療・総合内科部門において、2021年に行われた診断目的のコンサルテーション依頼を対象とした、単施設後ろ向き観察研究を実施した。コンサルテーションは、最初に依頼した専門診療科が最終的に正しい診断を確定したかを中心とした、アウトカムに基づく操作的定義によって適切と不適切に分類した。さらに、特定の診断が強く疑われていた場合には、最終診断との一致も分類基準に加えた。
テキストマイニングにはKH Coderを使用し、共起ネットワーク分析、対応分析、キーワード・イン・コンテクスト(KWIC)分析を行った。
結果
352件のコンサルテーションのうち、適切なのは229件、不適切なのは123件であった。適切なコンサルテーションでは、明確な異常所見や疾患の進行を示す言葉が特徴的にみられた。一方、不適切なコンサルテーションでは、「不明」「陰性」など、診断の方向性が限定的であることを示唆する言葉が関連していた。
特に興味深い結果として、KWIC分析では「陰性」という言葉が、少なくとも2つの異なる診断推論を表していた:検査結果が陰性だったことを受けて、鑑別診断を修正する;陰性な検査結果があっても、なお特定の診断を疑い続ける。つまり、同じ「陰性」という言葉でも、診断推論上の意味は一様ではなかった。
また、不適切なコンサルテーションでは、こうした表現が、評価や診療記録の不十分さ、および診断的不確実性を伴っていた。
結論
コンサルテーション依頼文のテキストマイニングによって、コンサルテーションの適切性と関連する言語的特徴を明らかにすることができた。また、「陰性」という言葉が、異なる診断推論上の行動を反映していることも明らかになった。コンサルテーション依頼文は、診断推論を評価するための、拡張可能な窓口となる可能性があり、診断コミュニケーションやコンサルテーションの質を改善する機会を特定するためにも利用できる可能性がある。
感想
総合診療科から他科へのコンサルテーションの文章を用いた分析で、着眼点がとても面白いです。ここでいう「適切」はコンサルテーション文章に最終診断が含まれていることを意味しています(ざっくりとした説明ですが)。診断プロセスや診断エラーの研究は表に現れないプロセスを扱うので難しいですが、確かにコンサルテーションの文章に着目するというのは可能性がかなりありそうですね。こういう着想で研究するのは素晴らしいことだと思います。