Disalvo D, Giannitrapani K, Lorenz K, Offner K, Roberts SJ, Puranam S, Mickelsen J, DeNatale M, Agar M. Fostering Locally Led Palliative Care Innovation: A Qualitative Evaluation of the SPHERE-Stanford Collaborative Quality Improvement Program. J Gen Intern Med. 2026 Oct 5. doi: 10.1007/s11606-026-10824-6.
背景 オーストラリアは質の高い緩和ケアで国際的に評価されている一方、緩和ケアへのアクセスの不均衡、サービスモデルのばらつき、医療人材への負担などが、安全で効果的かつ患者中心のケアを妨げている。質改善(QI)は、こうした課題に取り組むための実践的な方法となり得る。本研究では、地域におけるQI能力を構築するため、Sydney Partnership for Health, Education, Research and Enterprise(SPHERE)がStanford Medicineと連携し、オーストラリアの7つの緩和ケアサービスにエビデンスに基づくQIプログラムを導入した。
目的 SPHERE-Stanford Medicine Collaborative QI Programを通じてQIプロジェクトを実施した医療者の経験を評価し、プロジェクトの実施を成功させるうえでの障壁と促進要因を明らかにすることを目的とした。
参加者 7つの参加チームから、チームリーダー、チームメンバー、メンター、サービスディレクターを含む25人にインタビューを実施した。
方法 各チームは、オンラインワークショップ、2日間の対面集中研修、継続的なメンターによる支援を組み合わせた、6か月間の構造化されたQIカリキュラムを受講した。半構造化インタビューによって、QI能力の構築とQIプロジェクトの実施に関する経験を調査した。Consolidated Framework for Implementation Research(CFIR)を枠組みとして、質的内容分析を行い、実施の成功に影響する要因を特定した。
結果 プログラムによって、医療者のQIに関する知識と自信が向上し、各チームはサービス上の問題の根本原因を特定し、標的を絞った介入を設計できるようになった。その結果、緩和ケアへの紹介件数の増加、ケアの統合の向上、記録方法の一貫性の向上など、意味のある改善が得られた。多職種連携、強いチームの結束、そして継続的なメンタリングが、主要な促進要因であった。また、経営層からの支援と積極的なコミュニケーションが、関係者からの支持を促し、新しい実践の導入を支えた。
一方、サービスモデルの違い、限られた資源、医療者の離職・交代、連携先サービスにおける緩和ケアに対する認識不足が主要な障壁となった。それでも参加者は、本プログラムを継続的なQI活動のきっかけとなるものと捉えており、成果を他施設へ共有・拡大する機会も認識していた。
結論 本プログラムは、オーストラリアの緩和ケアサービスにおけるQI能力を強化し、公平性、アクセス、サービスの質を改善するために他の現場にも応用可能な解決策を生み出した。今後は、こうした取り組みを持続可能なものにするための支援、学習成果の普及、そして緩和ケア領域全体へのQI能力の拡大が必要である。
感想
「QI能力を個人に教える」ことと「QIが継続する組織をつくる」ことは別の課題、ということですかね。
単なる研修内容ではなく、①多職種チームの結束、②継続的なメンタリング、③経営層の支持、④積極的なコミュニケーションが成功要因で、逆に、医療者の離職や資源不足が組織的障壁として挙がっています。