Araki K, Ikeda-Sakai Y, Takahashi Y, Nakayama T. Rethinking Treatment Evaluation From the Perspectives of Patients and Healthcare Professionals Through the Lenses of Intersubjectivity, Intercorporeality, and Interaffectivity. J Gen Fam Med. First published: 04 June 2026 https://doi.org/10.1002/jgf2.70141
医療処置の評価には多面的なアプローチが必要であり、患者と医療従事者(HCP)は治療の価値と有効性を異なる視点から捉えることが多い。臨床結果以外の治療評価を探求した研究は少ない。本研究は医療人類学的アプローチを採用し、環境的、文化的、社会経済的文脈における健康体験の理解、および医療に関わるステークホルダーの役割の重要性を強調する。患者とHCPの視点から、間主観性、間身体性、間感情性というレンズを通して治療評価を分析する。これらの概念は、臨床現場での出会いが共有された意味、身体的な相互作用、感情的な相互関係によって形作られ、治療体験へのより深い洞察をもたらすことを示している。さらに、治療評価は生物医学モデルを超え、各患者の固有の特性が重要であることを認識すべきである。本研究は、治療評価は単なる技術的な判断ではなく、心、身体、感情が相互作用することによって共同で生み出される、統合された関係的かつ感情的なプロセスであることを示唆している。
感想
現象学の視点から文献レビューを行っており、門外漢には正直難解ですが、全文読んで言わんとするところはわかったような気がしています。discussionの以下の個所が最も大事かなと思ったので引用します。
治療評価は一方的な技術的判断に還元できるものではなく、患者と医療従事者の両方が関与する「共同制作プロセス」であることが示されている。
治療が真に「効果的」となるのは、生物学的結果(医療従事者の視点)が、身体感覚に基づく安堵感(患者の視点)と一致する場合に限られる。ここで重要なのは、安全性は単なる統計的な臨床安全性ではなく、患者にとっての「実感できる感情」であるという理解である。医療従事者が臨床的な客観性と「実感できる安全性」との間のギャップを埋めようとする場合、3つの現象学的概念は、異なる目標を同期させるための重要な枠組みとなる。
総じて、医療従事者は臨床結果だけでなく、患者の安全を含む「治療効果」にも焦点を当て、対話と相互作用を通じてアプローチを継続的に改善していくべきである。このような統合的なプロセスこそが、医療が心身ともに患者全体を対象とすることを保証し、適切で効果的かつ安全なケアを実現する。