2026年10月3日土曜日

コンサルテーションの文章で診断プロセスを分析する

 Kawamura R, Harada Y, Shimizu T. Diagnostic Reasoning in General Internal Medicine Consultations: A Text Mining Analysis of Consultation Requests. J Gen Fam Med. 2026 Sep 13;27(5):e70176. doi: 10.1002/jgf2.70176


背景

診断推論は、その多くが内的な思考過程であるため評価することが難しく、診療の質と関連する言語的特徴については十分に明らかになっていない。コンサルテーション依頼文は、医師がその時点で行っている診断的思考を捉えるための有用な手がかりとなる可能性がある。本研究では、総合内科へのコンサルテーション依頼文における言語が、診断推論をどのように反映しているのかをテキストマイニングによって検討した。


方法

日本の大学病院の総合診療・総合内科部門において、2021年に行われた診断目的のコンサルテーション依頼を対象とした、単施設後ろ向き観察研究を実施した。コンサルテーションは、最初に依頼した専門診療科が最終的に正しい診断を確定したかを中心とした、アウトカムに基づく操作的定義によって適切と不適切に分類した。さらに、特定の診断が強く疑われていた場合には、最終診断との一致も分類基準に加えた。

テキストマイニングにはKH Coderを使用し、共起ネットワーク分析、対応分析、キーワード・イン・コンテクスト(KWIC)分析を行った。


結果

352件のコンサルテーションのうち、適切なのは229件、不適切なのは123件であった。適切なコンサルテーションでは、明確な異常所見や疾患の進行を示す言葉が特徴的にみられた。一方、不適切なコンサルテーションでは、「不明」「陰性」など、診断の方向性が限定的であることを示唆する言葉が関連していた。

特に興味深い結果として、KWIC分析では「陰性」という言葉が、少なくとも2つの異なる診断推論を表していた:検査結果が陰性だったことを受けて、鑑別診断を修正する;陰性な検査結果があっても、なお特定の診断を疑い続ける。つまり、同じ「陰性」という言葉でも、診断推論上の意味は一様ではなかった。

また、不適切なコンサルテーションでは、こうした表現が、評価や診療記録の不十分さ、および診断的不確実性を伴っていた。


結論

コンサルテーション依頼文のテキストマイニングによって、コンサルテーションの適切性と関連する言語的特徴を明らかにすることができた。また、「陰性」という言葉が、異なる診断推論上の行動を反映していることも明らかになった。コンサルテーション依頼文は、診断推論を評価するための、拡張可能な窓口となる可能性があり、診断コミュニケーションやコンサルテーションの質を改善する機会を特定するためにも利用できる可能性がある。


感想

総合診療科から他科へのコンサルテーションの文章を用いた分析で、着眼点がとても面白いです。ここでいう「適切」はコンサルテーション文章に最終診断が含まれていることを意味しています(ざっくりとした説明ですが)。診断プロセスや診断エラーの研究は表に現れないプロセスを扱うので難しいですが、確かにコンサルテーションの文章に着目するというのは可能性がかなりありそうですね。こういう着想で研究するのは素晴らしいことだと思います。

2026年10月2日金曜日

介護者は診療同伴で何をしているか、そしてそれはvirtual careに移行可能か

 Ward K, Wang H, Chacty V, Lau AY. Carer involvement in GP-patient consultations and translatability to virtual care: a multi-methods study. BJGP Open. 2026 Aug 11:BJGPO.2025.0114. doi: 10.3399/BJGPO.2025.0114. https://bjgpopen.org/content/early/2026/08/09/BJGPO.2025.0114


背景

介護者は、患者が医療にアクセスし、良好な医療経験を得るうえで重要な役割を果たしている。介護者はしばしば患者に付き添って診療を受け、その際に精神的・身体的な支援を提供している。しかし、これまでのところ、診療中に介護者が具体的にどのような活動に関わっているのか、また、それらの活動をオンライン・遠隔診療にどの程度移行できるのかを明らかにした研究は限られている。


目的

本研究の目的は、患者がGPの診察を受ける際に、介護者がどのような活動に関与しているのかを明らかにし、記述すること、そして、それらの活動をvirtual careによる診療にどの程度移行できるのかを評価することであった。


研究デザイン・セッティング

英国の8つのGP診療所で実施された対面でのGP診療のビデオ281件をスクリーニングし、そのうち39件を分析対象とした。


方法

対面で行われたGP診療の二次分析を行い、介護者が関与している活動を抽出した。それぞれの活動について、著者らが開発したエビデンスに基づく新しいスコアリングシステムを用いて評価し、その介護者の活動がvirtual careにおいて実施可能である可能性を判定した。


結果

介護者が関与する39の活動が同定され、7つのカテゴリーに分類された。

健康情報の共有 10 25.6%

精神的・身体的支援 9 23.1%

病歴聴取 8 20.5%

自宅での健康関連活動 5 12.8%

ロジスティクス 3 7.7%

関係性の構築 3 7.7%

その他 1 2.6%

39の活動について、virtual careへの移行可能性を評価したところ、平均スコアは15点満点中13点であった。


結論

介護者が関与するすべての活動について、virtual careへの移行可能、または移行可能性があると評価された。今後の研究では、virtual careにおける介護者の役割と、介護者をその役割の中でどのように支援できるかについて検討する必要がある。


感想

面白い研究。介護者が何をしているのかを測定するだけでも面白いのに、それをvirtualに移行できるかどうかの評価までしています。すばらしい。そしてこんなにおもしろくてもopenに回るのですね。最近、論文の質がAnn Fam MedよりBJGP Openのほうが高い気がします。


virtual careへの移行を評価するシステムに工夫があります。筆者たちの先行研究をもとにしているとありますが、つまるところ筆者たちが勝手に作ったスコアリングです。

Clinical endorsement、Physical artefacts / physical interaction、Type of carer support requiredの3項目をそれぞれ1~5点で評価し、合計15点満点にしています。


Clinical endorsement score:その活動を行うために、どの程度medical/clinical expertiseや医療者による確認が必要か

1 対面での臨床専門知識が必要

2 対面の臨床専門知識が望ましいが、遠隔で代替できる可能性あり

3 自宅で測定できるが、結果の解釈に医療者のclinical endorsementが必要

4 医療者による確認は必要だが、特別な機器なしにvirtual careで実施しやすい

5 医療専門知識が必ずしも必要ない


注射・ワクチン → 1

聴診・触診 → 2

血圧、体温、SpO₂測定 → 3

targeted history taking → 4

印刷など → 5


Physical artefacts / physical interaction:物理的な機器や身体的接触がどの程度必要か

1 virtual careでは代替困難な機器・身体診察が必要

2 機器・身体診察が必要だが、遠隔化の可能性あり

3 薬局などで簡単に購入できる機器が必要

4 自宅にある可能性の高い機器が必要

5 機器・身体的接触が不要


swab / smear → 1

聴診器による聴診 → 2

体温・血圧測定 → 3

computer / printer / weighing scale → 4

電話で服薬について話す → 5


Type of carer support required:その活動を患者が行うために、carerがどの程度の支援を必要とするか

1 非常に複雑。専門的な対面ケアが必要

2 複雑。clinical guidanceを伴う身体的・会話的支援が必要

3 重要な役割。ある程度の身体的支援または複雑な会話的支援が必要

4 比較的単純な支援。clinical knowledgeはほとんど不要

5 carerの支援は基本的に不要、または存在するだけでもよい


1:複雑な身体診察、高いリスクを伴う複数疾患、高度なclinical expertiseが必要な活動

2:複雑な診療情報の整理、multidisciplinary teamとの調整、複雑な在宅検査

3:診察時の衣服の着脱を手伝う、書類を準備する、患者に代わって病歴を説明する

4:患者を落ち着かせる、手を握る、会話を補足する、診察予約を手伝う

5:単に同席する、一般的な質問をする

2026年10月1日木曜日

高齢クィアのニーズを医療者教育に組み込む共同創造

 Hall S, Code D, Dyck D, Rabari D, Hubbard Murdoch N. What Healthcare Professionals Need to Understand About Queer Older Adult Care Experiences: A Double Diamond Design Study. J Gen Intern Med. 2026 Sep 25. doi: 10.1007/s11606-026-10800-0. https://link.springer.com/article/10.1007/s11606-026-10800-0


背景

two-spirit、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア(2SLGBTQ+)の人々が高齢化するなか、多くの人々が異性愛規範的(heteronormative)な医療システムへのアクセスにおいて困難に直面している。医療専門職(HCP)は、包摂的で、アイデンティティを肯定するケアを提供するための、対象を明確にした教育を必要としている。本研究の目的は、クィアな高齢者へのケアにおけるHCPの能力向上を目的とした教育ツールキットに含めるべき主要な内容領域を明らかにすることであった。


方法

Double Diamondデザインモデルは、4つの段階――discover(発見)、define(定義)、develop(開発)、deliver(提供)――からなる人間中心設計(human-centred design)の枠組みである。

本研究ではDouble Diamondデザインモデルを用い、カナダ・サスカチュワン州において、クィアな高齢者とHCPを対象とした2回の共同創造ワークショップを実施した。ワークショップでは、ストーリーテリング、障壁の特定、解決策の創出といった活動を行った。逐語録、フィールドノート、参加者が作成した資料のデータを帰納的に分析し、その後、コードを先行研究で記述されている現象と関連づけ、既存の用語に沿うように名称を変更した。


結果

3つのテーマが同定された。

Relational ontologies(関係の中で浮かび上がる存在):クィアな高齢者の健康経験が、人間関係、包摂的な言語、可視性、そして「選択した家族(chosen family)」の認識によってどのように形づくられるかを示す概念である。

Institutionalized othering(制度による他者化):異性愛規範的な方針、前提、教育上の不足によって、医療システムのなかでクィアなアイデンティティや人間関係が周縁化されることを示す概念である。

Self-protective behaviours(自己防衛的行動):クィアな高齢者が、カミングアウトや自身の情報開示をどの程度行うかを判断し、安全性を評価し、予想される差別から自分自身を守るために用いる方略を示す概念である。

これらのテーマは、現在開発中の教育ツールキットの中核的な内容領域を構成するものとなっている。


結論

これらの結果は、HCP教育において、積極的な信頼関係の構築(proactive trust building)と包摂的なケア方針(inclusive care policies)を優先する必要があることを示している。

具体的には、

relational ontologies:包摂的なコミュニケーション、「選択した家族」の認識、肯定的な対人ケア

institutionalized othering:構造的スティグマ、異性愛規範的な制度・方針への批判的検討、システムレベルでの包摂

self-protective behaviours:情報開示に配慮した診療、信頼関係の構築、安全に医療へ参加するための障壁の軽減

という形で、ツールキットの内容に反映される。

生きられた経験とデザイン研究の原則に基づいて開発されるこのツールキットは、クィアな高齢者をケアするHCPの準備性を高め、医療における公平性の向上を目指すものである。


感想

研究デザインもトピックも結果も、どれをとっても質の高い研究だと思います。

chosen familyとは、血縁や法律上の家族ではなくても、本人が「自分の家族」と認識し、家族のような親密さや相互扶助を持つ人々をさします。

単にニーズを記述するのではなく、当事者と医療者がco-designのプロセスに参加し、その経験を医療者教育の具体的なコンテンツへ変換しようとしている点が評価すべき点だと思いました。

2026年9月30日水曜日

RCTで効果を検証した介入を実装するための質的研究

 Purcell N, Moore LC, Becker WC, Seal KH. Implementing Integrated Whole-Person Care for Chronic Pain: Lessons from VA’s Multisite wHOPE Study. J Gen Intern Med. 2026. doi:10.1007/s11606-026-10825-5. https://link.springer.com/article/10.1007/s11606-026-10825-5


背景

ガイドラインでは、慢性疼痛に対して、多面的かつ生物心理社会的なケアが推奨されている。しかし、このようなケアを大規模に実装することは容易ではない。近年、Whole Health Options and Pain Education(wHOPE)研究では、米国の6つの退役軍人省(VA)医療センターにおいて、Whole Health Team(WHT)介入が実施・評価された。WHTは、医療提供者、complementary and integrative health(CIH)提供者、health coachからなる多職種チームであり、包括的で非薬物的な疼痛ケアを提供する。慢性疼痛を有するVA患者764人を対象としたランダム化比較試験では、WHTは、group cognitive behavioral therapy(CBT)および通常診療と比較して、pain interferenceをより効果的に減少させ、その他の疼痛関連アウトカムも改善した。WHTの有効性が示されたことから、今後広くWHTを実装することが可能かどうかを検討することが重要である。


目的

質的研究を用いて、WHTの実装を促進・阻害する要因、WHTの持続可能性に影響する要因を検討した。


方法

Practical Robust Implementation and Sustainability Model(PRISM)を理論的枠組みとして用いた。wHOPE介入の実装に関わった43名のcliniciansおよびstaffを対象に半構造化インタビューを実施し、template-based rapid analysisを用いてインタビュー内容からテーマを抽出した。


主な結果

臨床医はWHT介入を高く評価しており、自身の診療を向上させ、患者ケアを改善したと感じていた。インタビューから、WHTの実装と持続可能性に影響するいくつかの重要な要因が明らかになった。

① チーム構成・協働

以下が必要とされた。

チームメンバーが継続して同じメンバーであること

臨床医に十分な時間・業務量を割り当てること

各臨床職種の役割を明確にすること

定期的なteam huddleを行うこと

② 組織インフラ・統合

以下が重要とされた。

既存の疼痛診療におけるギャップに対応すること

primary careと緊密に連携すること

complementary wellnessおよびtreatment modalitiesへの紹介経路を確立すること

③ Administrative coordination

実装およびその後の運営を支えるために、熟練したadministrative coordinationが必要であることも強調された。


結論

包括的で患者中心的な多職種疼痛ケアを実装することは複雑であり、特有の課題を伴う。しかし、この質的研究から、こうしたケアの実装と持続可能性を成功させるための有望な戦略が明らかになった。


感想

昨日紹介した論文はこの論文を読むための準備でした。RCTで効果があるのはわかった(本当に?と私は思っていますが…)から、じゃあどうやって実装する?という質的研究です。分析は、あらかじめマトリックスを作っておいて該当する内容を埋めるような方法で行われており、迅速に結果が得られるようです。

結論はありきたりですが、こうやってRCTに質的研究をくっつけて実装の課題を探すというのは、とても重要なことだと思います。

2026年9月29日火曜日

チームでの疼痛管理の効果

 Seal KH, Morasco BJ, Martin AM, Reddy KP, Van Iseghem TM, Bolton RE, et al; wHOPE Study Group. The Veterans Affairs' Whole Health Approach for Chronic Pain Management: The wHOPE Randomized Clinical Trial. JAMA. 2026;335(20):1774-1786. doi:10.1001/jama.2026.5006. https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2848379


重要性

米国退役軍人省(US Department of Veterans Affairs: VA)のWhole Healthアプローチは、VA病院で診療を受ける慢性疼痛患者に対して、2016年に議会によって導入が義務付けられた。しかし、これまで、その有効性をランダム化臨床試験で検証した研究はなかった。


目的

VAで慢性疼痛を有する患者を対象として、Whole Health Teamによる介入の有効性を、認知行動療法(CBT)および通常診療と比較して評価すること。また、長期的な疼痛による生活への支障の軽減について、CBTと通常診療を比較すること。


研究デザイン、設定、対象者

米国の6つのVA医療システムで実施されたランダム化臨床試験である。参加者の登録は2020年9月18日から2024年1月19日まで行われ、最終追跡は2025年1月27日に実施された。解析は2025年4月1日から2026年2月3日まで行われた。対象は、VAのプライマリケアを受診している慢性疼痛患者であった。


介入

慢性疼痛患者を11:11:2の割合で無作為に、Whole Health Team介入群:343人、慢性疼痛に対するCBTのグループセッション:339人、通常診療:82人の3群に割り付け、12か月間介入した。

Whole Health Teamは、プライマリケア医またはナースプラクティショナー、非薬物療法またはintegrative pain careを提供するsecond clinician(注:非薬物療法またはintegrative pain careを実際に提供する臨床職。PT、鍼灸師、カイロプラクターなど)、コーチ(注:Whole Healthに基づく目標設定やセルフマネジメントを支援)から構成された。

このチームは、VA Whole Healthモデルに沿って、多職種による個別化されたケアを提供し、患者自身の価値観や人生の目標と一致した個人的な健康目標の達成を支援した。


主要評価項目

主要アウトカムは、12か月時点におけるBrief Pain Inventory interference(BPI-I)サブスケールのスコアであった。BPI-Iは0~10点で評価され、点数が高いほど疼痛による生活への支障が大きいことを示す。最小臨床的重要差(minimal clinically important difference: MCID)は1.0点と設定された。


結果

12か月時点で、Whole Health Team群では、疼痛による生活への支障がCBT群および通常診療群よりも大きく改善した。

BPI-Iの平均差は、Whole Health Team vs CBT:−0.58点、Whole Health Team vs usual care:−0.77点であった。

一方、CBT群と通常診療群の比較では、平均差は−0.19点(99% CI −0.89~0.50、P=.46)であり、有意差は認められなかった。

なお、Whole Health Teamによる改善は統計学的には有意であったものの、MCIDとして設定された1.0点には達していなかった。


結論と意義

これらの結果は、慢性疼痛を有するVA患者において、Whole Health Teamアプローチを使用することで、疼痛による生活への支障を統計学的に有意ではあるものの、小幅に改善できることを支持する。


感想

手間とコストをかけてもあまり変わらないような印象を受けました。疼痛管理はやはり難しいですね。

2026年9月28日月曜日

家庭医療レジデンシーのQIカリキュラム

 Harriett LE, Wright KM, Anderson L, Wheat S, Harrison L, Rowland K, et al. Quality Improvement in Residency: Training, Projects, and Outcomes. Ann Fam Med. 2026;24(5):431-436. doi:10.1370/afm.250717. https://www.annfammed.org/content/24/5/431


背景

Quality improvement(QI)は家庭医学レジデンシー教育の中心的な要素であり、医師がシステムレベルの変革を主導し、価値に基づく医療を提供するための能力を育成する。しかし、レジデンシーにおけるQIプロジェクトの成功を評価するための標準化されたカリキュラムや指標は存在せず、卒後医学教育におけるQI教育・評価のベストプラクティスについてもコンセンサスがない。本研究では、米国の家庭医学レジデンシーにおけるQIカリキュラムの現状を明らかにすることを目的とし、教育方法、プロジェクトの要件、指導教員の役割、成功の指標として認識されているもの、障壁などを調査した。


方法

本研究は、2025 Council of Academic Family Medicine Educational Research Alliance(CERA)による家庭医学レジデンシープログラム・ディレクターを対象とした横断的調査の一部として実施された。調査項目には、QI教育、プロジェクトの運営方法、プロジェクトの特徴およびアウトカムに関する質問が含まれた。記述統計およびχ²検定を用いてデータを分析した。


結果

回答率は44.2%(321/726)であった。

QIカリキュラムについては、38.8%のプログラムがレジデンシー独自に開発したカリキュラムを使用し、46.8%が独自開発と外部リソースを組み合わせたハイブリッド型カリキュラムを使用していた。

QIプロジェクトの監督は、54.2%のプログラムでコア・ファカルティが担当していた。

QIに必要なデータへのアクセスは、44.6%で「limited」、27.6%で「full」とされていた。

QIプロジェクトは45.2%でレジデントのチームによって実施されていた。

レジデンシー修了者のQI能力は、63.5%のプログラムで「intermediate」と評価されていた。

卒業時のQI能力が高いことは、ハイブリッド型カリキュラム、データアクセス上の障壁が少ないこと、プロジェクトの継続性、およびプロジェクトの成果をより広く普及・実装していることと有意に関連していた(いずれもP<.05)。


結論

レジデントのQI能力や臨床実践の変化と関連する教育・プロジェクトの特徴は、家庭医学レジデンシーにおいて、より標準化された長期的なQI教育アプローチが必要であることを示している。


感想

実際のclinical practice changeと関連していたプロジェクトの特徴は、

レジデントが個人ではなくチームで取り組む

次のresident classにプロジェクトが引き継がれる

結果を発表・出版する

であり、専攻医がやりっぱなしではなく継続して取り組まれるようにするのがいいのでしょうね。


専攻医のQIの能力をどのように評価しているのか気になったのですが、Program DirectorにBasic、Intermediate、Advanced/Expertの3段階で評価をきいているだけで、さすがにいまいちだなと思いました。

総じて、面白さを感じ取ることはできるけど、雑な研究だなと思ってしまいました。

2026年9月27日日曜日

VitB12の投与経路

 Debone D, Azeredo da Silva A, Cordenonssi J et al. Comparative efficacy of vitamin B12 supplementation routes in adults with replacement indication: a systematic review. eClinicalMedicine, 2026; 100 https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(26)00467-0/fulltext


背景

ビタミンB12欠乏症は一般的であり、重篤な合併症を予防するために長期的な補充療法が必要となることが多い。しかし、経口、舌下、筋肉内という異なる投与経路の有効性を比較した場合、その違いについては不明確な点が残されている。本システマティックレビューでは、補充療法が適応となる成人において、異なるビタミンB12補充経路の有効性を評価した。


方法

PubMed、Embase、Cochrane CENTRALを、言語や発表年による制限を設けず、各データベースの開始時点から2025年7月18日まで検索し、2026年7月13日に更新した。PRISMA 2020に従って報告した。

対象は、補充療法が適応となる成人を対象とし、経口、舌下、または筋肉内によるビタミンB12補充を比較したランダム化試験および観察コホート研究とした。小児を対象とした研究および比較を行っていない研究は除外した。

バイアスのリスクは、ランダム化試験についてRoB 2.0、コホート研究についてROBINS-Iを用いて評価した。主要アウトカムは、血清ビタミンB12値または臨床的反応とした。

本システマティックレビューはPROSPERO(CRD420251126832)に登録された。


結果

13研究が適格基準を満たした。その内訳は、ランダム化比較試験7件、観察コホート研究3件、学会抄録2件、research letter 1件であった。研究はアジア、ヨーロッパ、北米、南米、オセアニアの10か国で実施され、単施設研究と多施設研究の両方が含まれていた。

最も多かった比較は経口投与と筋肉内投与で、8研究がこれを比較していた。複数の研究では、経口投与は筋肉内投与と同等、あるいはそれ以上の生化学的反応を示唆していた。

舌下投与については研究数が少なく、5研究のみであったが、短期的な生化学的有効性は他の投与経路と同等またはそれ以上であった。

3つの投与経路はいずれも血清ビタミンB12値を上昇させた。

7件のランダム化比較試験はすべて、バイアスのリスクについて「some concerns」と判断された。主な問題は、ランダム化手順の限界と、アウトカム報告の選択性であった。

3件の観察研究はすべて「serious risk of bias」と判断され、主な理由は交絡因子の調整が不十分であったことであった。残る3研究(学会抄録2件、research letter 1件)はバイアス評価の対象外とした。


解釈

投与経路の選択では、患者の希望、忍容性、アクセスのしやすさを考慮すべきである。

特に舌下投与についてはエビデンスが限られているが、現在得られている研究からは、選択された患者にとって非侵襲的な代替手段となる可能性が示唆される。

今後は、症状の改善、治療アドヒアランス、患者の選好など、患者中心のアウトカムを評価する、十分な検出力を持った比較研究が必要である。


感想

特に新たな知見というわけではなさそうでした。ただ評価はあくまでVitB12検査値であり、臨床的なアウトカムではないことに注意が必要です。