Costa M, Kangasjarvi E, Charise A. Beyond empathy: a qualitative exploration of arts and humanities in pre-professional (baccalaureate) health education. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2020 Dec;25(5):1203-1226. doi: 10.1007/s10459-020-09964-z. Epub 2020 Feb 25. PMID: 32100196; PMCID: PMC7704487.
https://link.springer.com/article/10.1007/s10459-020-09964-z
40 年近くにわたり、研究者たちは、医療者教育(Health Professions Education: HPE)に文学・人文学のコンテンツを組み込むことを研究してきた。しかし、文学・人文学を取り込む目的、効果、および実施に関する長年の論争から、研修生がそのようなコンテンツに触れるタイミングと文脈が,あまり考慮されないが実は重要な要因であることが示唆されている。HPEに進む前に,人文学に基づく医療保健カリキュラムを導入することの利点をより理解するために、カナダ初の保健人文学科バカロレアプログラムの参加者を対象としたinstrumental case studyを実施した。半構造化インタビュー(n=11)とフォーカスグループ(n=14)から得られた,完全に匿名化されたトランスクリプトをオープンコード化し、テーマ別のナラティブ分析を行い、記述された経験における3つの主要な時間的領域(すなわち、12週間の「保健人文学入門」コースへの参加前、参加中、参加後)を明らかにした。本研究で得られた知見は、医療者教育における文学・人文学の内容についての認識が、医療者教育の入学前から大きく形成されていることを示している。また、新たな概念である「認識論的多能性」を定義することで、参加者が専門職に就く前の段階での健康関連の教育や学習において、複数の学問分野(特に文学と人文学)間を行き来して(かつそれぞれ役割を主張しながら)学習する能力が生まれていることを示した。したがって、バカロレア課程と HPE のカリキュラムの調整が改善されれば、認識論的な多面性、美的感性、その他 HPE 候補者に求められる資質など、文学・人文学に関連した能力の開発が強化される可能性がある。結論として、専門過程前コースに参加することは、医療専門職教育の「ライフコース」全体にわたって、文学・人文学の目的、役割、効果の実施と批判的理解の両方を強化するための新しい能力主導型のアプローチを提示している。
感想:医療者教育に社会学sociologyをどのように組み込むかについては,AMEE guideにもまとめられていたが,この論文ではarts and humanitiesをどのように組み込むかを議論している.いわゆる教養科目について着目した研究はあまり読んでこなかったが,たしかにこのような着眼点はあるよなと思った.