Zazove P, Plegue MA, McKee MM, DeJonckheere M, Kileny PR, Schleicher LS, Green LA, Sen A, Rapai ME, Mulhem E. Effective Hearing Loss Screening in Primary Care: The Early Auditory Referral-Primary Care Study. Ann Fam Med. 2020 Nov;18(6):520-527. doi: 10.1370/afm.2590. PMID: 33168680
https://www.annfammed.org/content/18/6/520
目的
米国で 2 番目に多い障害である難聴は、十分な診断と治療が行われていない。早期に難聴を発見することで、既知の重大な有害転帰を防ぐことができる可能性がある。
方法
2 つの医療システムにある 10 の家庭医療クリニックにおいて、55 歳以上の難聴患者を特定して紹介するためのスクリーニングの枠組みを評価するために、複数のベースライン・デザインが実施された。患者は同意書にくわえ,高齢者のための聴覚障害インベントリ(HHI)に記載をした。電子アラートにより、受診時に難聴のスクリーニングを行うよう臨床医に促した。
結果
研究期間中に対象となった14,877人の患者は,36,701回受診した。家庭医療クリニックにおける紹介割合は、1つの医療システムではベースライン時の3.2%から14.4%に、もう1つの医療システムではベースライン時の0.7%から4.7%に上昇した。一般内科での比較群では、紹介割合はベースライン時の3.0%から3.3%に上昇した。HHIを実施した5,883人の患者のうち、25.2%(n=1,484)が難聴を示唆するHHIスコアであったが、これらの患者の紹介割合は28%対9.2%と高かった(P <.001)。聴力検査のために紹介された1,660人の患者のうち、717人の聴力検査データが解析に利用可能であった.669人(93.3%)が適切に紹介され、421人(58.7%)が補聴器の候補者とみなされた。全体では、71.5%の患者が紹介が適切であると感じていた。
結論
55歳以上の患者に難聴について尋ねるように臨床医に注意を促すために電子アラートを使用することで、リスクのある患者への聴力検査の紹介が有意に増加した。聴覚学的およびオージオグラムのデータは、この促進の有効性を支持している。臨床医は、難聴の既知および有害な後遺症の軽減を目的に難聴の患者を特定するために,この方法を採用することを検討すべきである。
感想
①プライマリケアで難聴が見逃されていること,②電子アラートにより紹介が増えること,③その紹介はおおむね適切であることが本研究の結果です.実装を意識した家庭医療らしい研究だと思いました.やっていることは非常にシンプルで,目の付け所の良さでAFMに採用されたのだと思います.臨床やってるぜー感がビシビシ伝わるかっこいい論文です.