Wu Y, Zhu W, He X, Xue R, Liang W, Wei F, Wu Z, Zhou Y, Wu D, He J, Dong Y, Liu C. Influence of polypharmacy on patients with heart failure with preserved ejection fraction: a retrospective analysis on adverse outcomes in the TOPCAT trial. Br J Gen Pract. 2020 Dec 28;71(702):e62-e70. doi: 10.3399/bjgp21X714245. PMID: 33257457; PMCID: PMC7716870.
https://bjgp.org/content/71/702/e62.short?rss=1
背景
ポリファーマシーは心不全患者では一般的であるが、駆出率の保たれたHF(HFpEF)患者におけるポリファーマシーの有害転帰への影響は明らかではない。
目的
HFpEF患者におけるポリファーマシーの有病割合、予後への影響、予測因子を評価する。
デザインとセッティング
6カ国で2006-2013年に行得れた国際ランダム化二重盲検プラセボコントロール研究であるTOPCATトライアルのデータを用いて, 米州地域(米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジルを含む)の症候性HFで左室駆出率が45%以上の患者を対象としたレトロスペクティブ解析。
方法
患者は4つのグループに分類された:対照群(5剤未満)、ポリファーマシー群(5~9剤)、ハイパーポリファーマシー群(10~14剤)、スーパーハイパーポリファーマシー群(15剤以上)。全群の転帰と予測因子を評価した。
結果
1761人の参加者のうち、年齢中央値は72歳であり、37.5%がポリファーマシー、35.9%がハイパーポリファーマシー、19.6%がスーパーハイパーポリファーマシーであり、7.0%が薬剤負荷が少なかった。多変量回帰モデルでは、薬剤負荷の高い3つの実験群はいずれも全死因死亡の減少と関連していたが、HF入院と全死因入院のリスクは増加していた。さらに、いくつかの併存疾患(脂質異常症、甲状腺疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患)、狭心症の既往、拡張期血圧80mmHg未満、ベースライン時の心機能低下(ニューヨーク心臓協会機能分類レベルIIIおよびIV)は、HFpEF患者における薬剤の多さと独立して関連していた。
結論
HFpEF患者では、ベースライン時における薬剤負荷が高い割合が大きい。薬剤負荷の高さは再入院のリスクを増加させる可能性があるが、死亡率の上昇には寄与していない可能性がある。
感想
心不全はすぐpolypharmacyになりますよね.HFpEFは薬剤治療でできることが少ないですが,少なくともポリファーマシーが死亡率を上げるとはいえないという結論です.逆に言えば,あれこれ薬を使わなくても5剤以下のシンプルな処方設計でもいいのかもしれないということでしょうか.でも全死因死亡は5剤以下群で少し高いようですね.ポリファーマシーを恐れすぎず,必要な薬剤はちゃんと使う,のがよいのでしょうね.