2021年1月7日木曜日

手技を身につける成長のパターン

 Mema B, Mylopoulos M, Tekian A, Park YS. Using Learning Curves to Identify and Explain Growth Patterns of Learners in Bronchoscopy Simulation: A Mixed-Methods Study. Acad Med. 2020 Dec;95(12):1921-1928.


目的

学習曲線は、学習者がスキルを習得する過程と,能力を発揮するまでの道のりを説明することができる。本研究では、気管支内視鏡のバーチャルリアリティ(VR)シミュレーターで練習している初心学習者の成長軌跡を調査し、エキスパートの成長軌跡と比較した。


研究方法

混合研究法の説明的順次デザインで行った。カナダのトロントにあるHospital for Sick Childrenで、20名の小児科専攻の研修医と7名の教員がVRシミュレータを用いて練習を行った(2017年10月~2018年3月)。著者らは、成長混合モデル(growth mixture modeling)を用いて、反復回数とVRでのアウトカムおよび成長パターンの関係を検討した。instrumental case studyのデザインを用いて、成長のパターンを説明するために、フィールドノートと,研修医ないしシミュレーションインストラクターに対する半構造化インタビューの内容が検討された。著者らは、テーマを反復的に特定するために、絶えざる比較アプローチを用いた。安定したテーマ構造が形成され、データ全体に適用されるまで,チームでの分析が続けられた。


結果

成長混合モデルでは、2つの成長パターンが確認された。成長が遅い学習者には、スキル習得がもともと困難な学習者、シミュレーション練習において解剖学の知識を統合していない学習者、シミュレーターを使用して単純な反復練習を行っているが,試行の間に改善のための戦略を立てていない学習者であった。一方、成長が早かった学習者は、解剖学の知識を統合し、柔軟な解決策を見つけ、より深い概念的理解を生み出すという,専門知識への適応的なアプローチを用いた学習者であった。


結論

著者らは、教育における成長モデルの使用について妥当性の根拠を示し、機械的な反復練習を伴う「ゆっくりとした成長」と適応的な専門知識を伴う「速い成長」といった成長のパターンを説明している。


用語確認

・成長混合モデル(growth mixture modelling)

 複数の観察されていない部分集団(umobserved sub-population)を特定し、おのおのの観察されていない部分集団内の縦断的変化を記述し、観察されていない部分集団間の変化の違いを調べるための手法である。(PMID: 23885133 より引用)

 このケースでは,対象者を,早い成長を示す群と遅い成長を示す群によりわけ,それぞれの違いをしらべている.

・instrumental case study 

事例研究には,intrinsic, instrumental, collectiveの3つがある.intrinsicは、通常、ユニークな現象について調べるために行われる。研究者は、その現象ならではの独自性,つまり他のものにはないその現象だけにあるものを探し当てなければならない。対照的に、instrumentalは、ある問題や現象をより広く理解するために、特定のケース(その中には他のケースよりも優れているものもある)を使用する。collectiveでは、特定の問題についてより広範な理解を得るために、複数の事例を同時に、または順次研究する。(PMID: 21707982 より引用)


感想

おなじ手技の練習をしていても,すぐに身に着ける人とそうでない人がいる.その違いは何かを,混合成長モデルを用いて分析した研究.私,統計はからっきしなので,混合成長モデルの詳しい内容を読む気にはなれませんでしたが,そんな方法があるんだということだけは認識しました.まず量的に両群の違いを導き,どうして違いが起こるかを質的に分析する,順次的説明デザインのお手本のような流れです.手技の習得を極端に苦手としている私としては耳が痛い内容でした.