2021年1月11日月曜日

糖尿病患者に対するティーチバックは予後を改善させるか

Hong YR, Huo J, Jo A, Cardel M, Mainous AG 3rd. Association of Patient-Provider Teach-Back Communication with Diabetic Outcomes: A Cohort Study. J Am Board Fam Med. 2020 Nov-Dec;33(6):903-912. doi: 10.3122/jabfm.2020.06.200217. PMID: 33219069.

https://www.jabfm.org/content/33/6/903.abstract?rss=1

背景と目的

本研究の目的は、ティーチバック(「対話型コミュニケーションループ」とも呼ばれる)に関する患者の体験のパターンを調べ、糖尿病患者における糖尿病合併症や入院のリスク、健康に関する支出との関連を明らかにすることである。

方法

糖尿病の診断が確定した 18 歳以上の米国成人 2901 人を対象に、2011~2016 年の縦断的医療費パネル調査(Longitudinal Medical Expenditure Panel Survey)のデータを用いて後方視的コホート研究を実施した。ベースライン(1年目)におけるティーチバックの患者経験が糖尿病合併症の発症、入院、フォローアップ(2年目)における健康支出と関連しているかどうかを,調査計画で調整した多変量モデルを用いて検討した。健康支出はインフレ率を調整し、2017年の米ドルで表現した。すべての調整モデルには、患者の社会統計学的特徴および臨床的特徴が含まれていた。

結果

解析の結果、ティーチバック経験のある患者は、1年後のフォローアップ時に糖尿病合併症を発症する可能性が低く(調整オッズ比[AOR] 0.70;95%CI 0.52~0.96)、糖尿病合併症のために入院する可能性が低い(AOR 0.51;95%CI 0.29~0.88)ことが明らかになった。また、ティーチバック経験のある患者では、ティーチバックを受けていない患者と比較して総支出の増加額が1920ドル対3639ドルと有意に少なかった(差額は-1579ドル;95%CI -1717ドル~-1443ドル、P<0.001)。

結論

ティーチバックは、健康転帰を改善し、糖尿病ケアの節約につながりうる効果的なコミュニケーション戦略であるかもしれない。

感想

ティーチバックは,例えば「糖尿病の合併症について,今私が説明したことを,逆に私に説明してください」などといった手法.効果をみるために従来のコホート集団を用いて上手にデザインを行っているが,あまりに効果がありすぎるように思う.ティーチバックをしたかどうかでここまでアウトカムが変わるとは思えないのだが.