Tanaka P, Park YS, Roby J, Ahn K, Kakazu C, Udani A, Macario A. Milestone Learning Trajectories of Residents at Five Anesthesiology Residency Programs. Teach Learn Med. 2020 Dec 17:1-10. doi: 10.1080/10401334.2020.1842210. Epub ahead of print. PMID: 33327788.
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10401334.2020.1842210?af=R&journalCode=htlm20
構築
半年ごとに、研修プログラムは、研修医のマイルストーンレベルの達成状況をACGME(Graduate Medical Education Accreditation Council for Graduate Education)に報告する。マイルストーンによって、学習者と研修プログラムは個人の能力開発の軌跡を知ることができるようになる。
背景
専門分野別にグループ化された研修医(例:内科と救急医学)のマイルストーンレベルの評価から、全体として、初期研修医よりも後期研修医の方が高い評価を受けていることがわかる。麻酔科のマイルストーンは、研修医と教員の両方によって評価されるものであるが、これも卒後年数との間に正の線形関係がある。しかし、これらの研究は縦断的なコホート研究ではなく横断的なものであり、研修期間中に個々の研修医がどのように進歩していくかについての研究が必要である。パフォーマンス評価の軌跡を縦断的にデータ分析することは、Next Accreditation Systemの妥当性に関する問題への対応となる。私たちは、以下の目的のために,縦断的なマイルストーンデータに学習分析を適用することについてを検討した.1)「直進性」の頻度を測定する。2)各サブコンピテンシーについて、卒業までに「レベル4」(教師なしでの実践が可能な状態)に到達した研修医の割合を評価する。3)ベースラインのマイルストーンレベルと改善率におけるプログラム間および個々の居住者間のばらつきを特定する.4)仮説的に構築された成長曲線モデルがACGMEに報告されたマイルストーンデータにどのように適合するかを決定する。
アプローチ
2014年7月1日から2017年6月30日までにACGMEに半期ごとに提出された25のサブコンピテンシーのマイルストーンレベル評価について、5つの麻酔科レジデンシープログラムから得た便宜的に抽出したサンプルを用いて,研修医(n = 67)を対象にレトロスペクティブに分析した。データは、臨床麻酔科研修1年目の初めから3年目および最終年の終わりまでの縦断的な研修医のマイルストーンの進行を反映していた。直進性を,ある6ヶ月間にわたるレポートで,25のサブコンピテンシーすべてについて同等のマイルストーンレベルの評価を受けた研修医と定義し、各プログラムごとにその頻度を算出した。すべての研修医は研修中に6回評価されたため,直進性があるという評価を最大6回受ける可能性があった。
結果
各プログラムの研修医数は5-21名(中央値13名、レンジ16名)であった。サブコンピテンシーの平均マイルストーンレベル評価は、各6ヵ月間で有意に異なっていた(p<0.001)。直線化の頻度は、プログラムによって9%~57%(中央値22%)と有意に異なっていた。プログラムにより様々だが、53%~100%(中央値86%)の研修医が25の麻酔科サブコンピテンシーすべてで卒業目標レベル4以上に到達していた。9~18%の研修医が、研修期間中に少なくとも1つのサブコンピテンシーでレベル4に到達しなかった。初年度の臨床麻酔科研修マイルストーンレベルと、6つのコアコンピテンシーのうち5つの改善率で,プログラム間で大きなばらつきが見られた。
結論
ACGMEに報告されている麻酔科研修医のマイルストーンレベルの成長の軌跡は、プログラムによってだけでなく、個々の研修医によっても大きく異なっていた。本研究は、現在いくつかの研修医プログラムで使用されているNext Accreditation Systemの有効性について懸念を抱かせる事例を提供している。
感想
マイルストーンは直線的な成長を仮定しているが,そうではないかもしれない,ということだろうか.