2019年10月21日月曜日
レジオネラ肺炎の臨床像の幅広さ
基本的事項ですが,研修医と一緒に学んだので.
レジオネラ肺炎の臨床所見に絞ってまとめました.
私がよく研修医指導で使うClinical Pearlに
「肺炎っぽくない肺炎はレジオネラ,腸炎っぽくない腸炎はカンピロバクタを疑え:
というのがあります.
高熱で全身ぐったり,みるからにsickな熱性疾患で,呼吸器症状がないのに浸潤影があれば,レジオネラ肺炎を疑うようにしています.
まず,NEJMのレビューから.
N Engl J Med 1997; 337:682-687にはこのようにあります.
「レジオネラ肺炎の臨床像は幅広く,軽い咳と微熱を呈するのみのこともあれば,昏睡,呼吸不全,多臓器不全にいたるものもある.初期には,発熱,全身倦怠感,筋痛,食思不振,頭痛といった非特異的な症状しか見られない.」
「消化器症状,特に下痢がめだつことがあり,20-40%でみられる.便は血性ではなく水様である.」
「比較的徐脈が診断につながる所見としてむやみに強調されすぎているが,高齢の重症肺炎でなければあまりみられるものではない」
「呼吸困難+下痢+意識障害」が重症レジオネラ肺炎の1つの典型でしょうか.
Eur J Emerg Med. 2004 ;11:225-7.
信州医誌. 2011; 59:27-31.
発熱+神経症状とくればまず髄膜炎を疑いますが,レジオネラ肺炎も鑑別に上げなくてはいけません.
Medicine (Baltimore). 1984; 63:303-10.
レジオネラ肺炎の42-52%で神経症状が出現します.
多いのは意識障害(30%)と頭痛(22-29%)ですが.
小脳失調や巣症状を呈することもあるようです.
こちらは髄膜炎様症状をきたしたレジオネラ肺炎の症例報告(日本語)
Clin Neurol 2013;53:526-530
レジオネラが髄液に侵入したわけではなく,
免疫学的機序によるものと考察されています.
レジオネラ肺炎は呼吸器症状がないこともあります.
Neth J Med. 2010 ;68:84-86.
筋痛のみで発症したケースレポートです.
J. J.A. Inf. D. 2000; 74:989-993.
発熱,横紋筋融解,急性腎不全,肝障害で発症(日本語論文です).
BMJ Case Rep. 2015;2015. pii: bcr2013201337.
初診時に腎盂腎炎と間違えられたレジオネラ肺炎.レアですね.
これくらい押さえておけば,対応できるでしょう…たぶん
頻繁に遭遇する疾患ではないですが,かといって出会わないわけでもない疾患です.
こうやって素振りしておくことに意味があると思います.
2019年9月16日月曜日
上葉優位の瀰漫性肺陰影
瀰漫性肺疾患はとても苦手です.
こういった本で勉強しているのですが,なかなか頭に入っていきません.
疾患名をわかった状態でCTを読むのと,実診療でまずCTがきて鑑別をあげるというのは
当たり前ですが,まったく違うものですね.
必要があって調べていたら,上葉優位の分布をきたす疾患の覚え方をみつけました.
CASSET-P(詳しくはこちら)
C:慢性過敏性肺臓炎(CHP),嚢胞性線維症(cystic fibrosis)、
A:強直性脊椎炎(ankylosing spondylosis)、網谷病(PPFE)
S:サルコイドーシス(sarcoidosis)
S:珪肺(silicosis)
E:eosinophylic granuloma(現在はランゲルハンス細胞組織球症)
T:結核(tuberculosis)を含めた慢性感染症(非結核性抗酸菌、真菌など)
P:ニューモシスティス肺炎(PCP)特にペンタミジン予防吸入中
さらにグループで覚えると
吸い込んで発症(過敏性肺臓炎,珪肺,結核等.ペンタミジン吸入が届かずPCP発症)
全身疾患(強直性脊椎炎,サルコイドーシス)
あとはPPFEとランゲルハンス細胞組織球症,ですね.
強直性脊椎炎で肺線維症が起こるのをはじめて知りました.
他にも,ぶどう膜炎(虹彩炎),炎症性腸疾患、弁閉鎖不全、心筋伝導障害が併発することがあります.
PPEE(pleuroparenchymal fibroelastosis)もはじめて聞きました.
くわしくはリンク先参照(こちらとこちら)
CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)なら経験があります.
上肺野に肺気腫,下肺野に間質性肺炎,というのが典型ですね.
肺がん,肺高血圧に注意です.
ランゲルハンス細胞組織球症は喫煙者の上肺野の結節影+小空洞というのが典型例でしょうか.
単純化しすぎていますが,非専門医が頭に入れるにはこのあたりが限界です.
最初の方針をたてて専門医につなぐとっかかりくらいにはなるでしょう.
再度,瀰漫性肺疾患の勉強をしなくては.
もう一回教科書読み直そう.
2018年11月12日月曜日
咳喘息について
咳喘息(cough variant asthma)
自分が罹患した(暫定診断,本日よりICSで診断的治療開始)ため,基礎知識をまとめます.
・可逆性のある気道閉塞は見られることもあれば見られないこともある
・逆に咳喘息でない咳嗽患者で気道可逆性が見られることもある
・スパイロメトリーは33%の患者で偽陽性,メサコリン負荷試験は22%で偽陽性(PMID: 19121405)
・ゆえに最も確実な診断法はICS(吸入ステロイド)による診断的治療
・経過中に成人で30%程度が気管支喘息に移行
(以上,UpToDate: Evaluation of subacute and chronic cough in adultsより)
日本の診療ガイドラインをみても,やはり第一選択はICSですね.
アトピー咳嗽とどのように区別してよいのかいまいちよくわかっていません.
病態が違うことは理解できる(咳喘息は気管支平滑筋収縮,アトピー咳嗽は咳受容体感受性亢進:上述のガイドラインによる)のですが,どっちもICSが効きます.
鑑別点はβ刺激薬の効果の有無だとおもうのですが,診断的治療をICSでするなら鑑別しようがないのではと思ってしまいます.
ICSを2週間使って効果がいまいちならH1 blocker併用というので良いのでしょうか.余り腑に落ちていないです.
それとも,典型的な症状(のどのあたりがいがいが,ぞわぞわする)があればH1 blockerから開始,とするのでしょうか.
UpToDateにはnonashmatic eosinophilic bronchitisについての記述がありますが,これもICSが効きます.
細かい鑑別を追求するより,見逃してはいけない肺がんと結核をしっかり除外する方にエネルギーを割いたほうが良いのかもしれません.
気管支拡張症は…CTを撮らない限り診断は難しいのではと思ってしまいます.
膿性痰がずっと出ているような場合で考慮するのでよいのでしょうか.
喀痰抗酸菌培養で肺MAC症を診断した場合は,アジスロマイシン・リファンピン・エタンブトールを喀痰培養12か月間確認するまで投与です.薬剤副作用に注意ですね.
(UpToDate: Treatment of Mycobacterium avium complex lung infection)
2017年10月11日水曜日
胸膜痛について
胸膜痛ではまず肺塞栓を除外せよという強いメッセージを感じます.
Pleuritic Chest Pain: Sorting Through the Differential Diagnosis
Am Fam Physician. 2017 Sep 1;96(5):306-312.
胸膜性胸痛の特徴は,呼吸時に生じる突然かつ強い胸痛で,鋭い,または刺すような,または焼けるような痛みと表現される.最も高頻度かつ重篤な原因は肺塞栓であり.胸膜性胸痛で救急を受診する患者の5-21%を占める.肺塞栓に関し妥当性が確認された臨床決断ルールを適応することで,Dダイマー測定,肺換気血流スキャン,CTアンギオグラフィーといった追加の検査を行うかどうかの参考となる.他の重篤な疾患としては,心筋梗塞,心膜炎,大動脈解離,肺炎,気胸があり,上記疾患以外の診断を下す前に,病歴と身体診察,心エコー,トロポニン測定,胸部レントゲンを用いて除外すべきである.冠動脈疾患を除外するのに有用な,妥当性が確認された臨床決断ルールを用いることができる.胸膜性胸痛を引き起こす最多の要因はウイルスである.病原としてよくみられるものに,コクサッキーウイルス,RSウイルス,インフルエンザ,パラインフルエンザ,ムンプス,アデノウイルス,サイトメガロウイルス,EBウイルスがある.胸膜性胸痛の治療は原因疾患の治療に準じる.ウイルス性または非特異的な胸膜性胸痛の場合は,疼痛コントロールとしてNSAIDsが適している.症状が持続する患者,喫煙者,肺炎のある50歳以上の患者では,初期治療から6週後に再度胸部レントゲンを撮影し,画像上の改善を確かめることが重要である.
2016年10月3日月曜日
胸痛をきたす良性疾患
ようやく更新が再開できそうです.
明らかに非心臓性で,帯状疱疹や逆流性食道炎もなく
「まぁ・・・様子見ましょうか」で終わらせてしまう胸痛ってあるよなと思います.
Bornholm病(流行性胸痛症),Straight back syndromeは遭遇したことがあります.
また,Precordial catch syndromeは私自身がなった経験があります(たぶん).
あまり知られていない,けど知っているとそこそこ外来で引っ掛けられるのでは,
という疾患をまとめてみました.
●Straight back syndrome
・若年者の一過性の軽度胸痛,動悸
・胸郭が扁平で胸椎が直線状→心臓が圧迫されて胸痛出現?
・胸部側面X線で,T4-T12を結ぶ直線からT8までの距離が1.2cm未満
・胸痛は体動時や胸郭圧迫時に多い
・67%に僧房弁逸脱症候群の特徴あり.
参考:Q.J.Med(196),Cardiol(5),日本医事新報 (4759)
画像はリンク先より引用.
●Precordial catch syndrome
・小児の筋骨格性胸痛
・数秒から数分の鋭い胸痛
・胸骨左縁肋間あるいは心尖部の非常に狭い部位に局在
・突然発症,安静時あるいは軽い運動時に起こる
・吸気で増悪
参考:UpToDate Causes of nontraumatic chest pain in children and adolescents
●Slipping rib syndrome
・肋軟骨を介して胸骨に固定されていない第8,9,10肋骨で,結合組織がゆるんだり外傷により断裂したりすることで起こる
・結合組織の脆弱化により,肋間神経が挟まれ,胸痛をきたす
・Hooking maneuverで疼痛誘発
参考:UpToDate Causes of nontraumatic chest pain in children and adolescents
画像はHooking maneuver.リンク先より引用.
●肋軟骨炎
・胸骨縁の肋軟骨の局所的な圧痛
・重い荷物を持ち上げたり肩にかけたりすることが契機となりうる
・左側が多い
・Horizontal arm traction maneuver,Crowing rooster maneuverで疼痛誘発
参考:UpToDate Causes of nontraumatic chest pain in children and adolescents
上がCrowing rooster maneuver,下がHorizontal arm traction maneuver.
引用はUpToDateより.
●SAPHO症候群
・胸鎖関節炎による胸痛をきたしうる.
・皮膚症状が先行する症例が39%,関節症状が先行する症例が29%
・皮膚症状は84%にみられる.内訳は掌蹠膿疱症32%,重症ざ瘡18%,尋常性乾癬10%
参考:藤田保健衛生大学サイト
ほかにも,Mondor病やTiezte症候群など,いろいろあります.
当然,狭心痛や肺塞栓症など重篤な疾患の除外が優先ですけどね.
2016年7月23日土曜日
急性好酸球性肺炎
10代の患者が呼吸困難と発熱で来院,SpO285%r/aですりガラス陰影あり,あとから好酸球が上がってきて喫煙歴発覚,というケースを見聞しました.
・比較的急性発症,多くは7日未満
・乾性咳嗽(95%),呼吸困難(92%),発熱(88%)が多い
・両側肺底部の吸気時crackelsと強制呼気でのrhonchiを聴取する
・バチ指はおこらない
・低酸素血症が起こる.人工呼吸が必要になることも多い.
(そういえば見聞したケースでも,若いのに著名な低酸素血症を呈していて,細菌性肺炎や非定型肺炎としては違和感があります)
・初期は好中球増加(細菌性肺炎っぽくみえる).CRPも上がる.好酸球はあとで上がってくる.
(これが最大のClinical pearls.AEPの初期診断はeosinophiliaではできない.)
・レントゲンではびまん性の実質の陰影
・喫煙のほかに,薬剤や塵の吸引歴を聞く
・治療は酸素吸入などの支持療法
・ステロイド40-60mg/dayで開始,2週間あるいは症状改善まで続けて,5mg/7dayで減量.
・重症では60-125md/6h毎.
まとめると,若年者の急激な呼吸困難で,非定型肺炎っぽいレントゲン像で,採血結果は細菌性肺炎っぽいのに喀痰はでなくて,低酸素血症が強い,というのがおおまかなゲシュタルトでしょうか.好酸球増加は後にならないとわからない点に注意ですね.
参考:UpToDate idiopathic acute eosinophilic pneumonia
2016年7月15日金曜日
vocal cord dysfunction
vocal cord dysfunctionによるwheezeを聴取するケースに出会ったので勉強します。
こまったときのAFP。簡潔なReview記事があったのでそれを中心に。
Vocal Cord Dysfunction AFP 81(2) 156-9 2010
・正常声帯は、吸気に外側に開き、呼気にわずかに閉じる
・本症では、呼気、吸気のいずれかで声帯が中央に移動してしまい閉塞をきたす
・病名はいろいろ。paradoxival vocal cord dysfunction (UpToDateでは
これを使っている)、paradoxical voral cors motion、factitious asthmaなど。
・20-40歳の女性に多いが、男性にも小児にもみられる。
・呼吸困難感+吸気時ストライダー、咳嗽、窒息感、胸のつまり
・症状は軽く間欠的であることが多い。
・59%が以前に喘息と診断されていた。
・喉頭痙攣は本症のサブタイプ。失声(aphonia)や急性の呼吸困難をきたす。麻酔時に多い。
・話している時に突然嗄声になることも。
・喘息との鑑別点:呼気より吸気がしづらい、胸つまり・窒息感がある
・診断のゴールドスタンダードは喉頭鏡だけど、なんとかスパイロで診断できないかなぁ→後述
・他の鑑別は以下の通り
急を要する:アナフィラキシー、血管浮腫、喉頭蓋炎、異物
その他:甲状腺機能低下症、喉頭軟化症、クループ、声帯ポリープ/癌、喉頭硬化症(挿管後、放射線治療後など)
・運動後に発作が起きやすい。通常治療に反応しない運動誘発性喘息をみたら鑑別に!
・心理的ストレスも発作を誘発する。不安障害などあればより起きやすい。
・副鼻腔炎、GERDの併発に注意
・スパイロで胸郭外上気道閉塞の所見が出る。非発作時でもみられることがある。
・治療:まずは患者さんを安心させる。
・呼吸法の指導:浅く素早く息をするだけで横隔膜呼吸、鼻呼吸、ストローを使っての呼吸、口すぼめ呼吸、シューッと息を吐く
・ヘリウムガス(!)を吸うと速効性あり。
・誘発因子(タバコ、ほこり)をさけ、併存疾患を治療する。運動誘発ならアトロベント吸入がよいかも。
2016年3月29日火曜日
特発性間質性肺炎の基礎
特発性間質性肺炎がさっぱりわからないので
基本的なところを勉強してみました。
気管支鏡検査と病理組織の項目は飛ばします。当院では施行できないので。
とりあえずこのくらいの知識があれば、その都度調べるための土台となるのではと思います。
もちろん、続発性を鑑別することを忘れずに。
個人的には薬剤性と膠原病関連(とくに肺障害から起こる場合)が鑑別から抜けそうです。注意しなくては。
①IPF
・最多
・60-70歳代で多い
・月~年単位で慢性に呼吸苦増悪
・ばち指が多い
・肺底部、胸膜直下
・がちがちに線維化→蜂巣肺に
・がちがちに線維化→ステロイドだけでは効果乏しい
②NSIP
・2番目に多い
・週~月単位で亜急性発症
・ばち指は少ない
・1/3でインフルエンザ様症状(発熱)を呈する
・そこまでがちがちにならない→すりガラス影・網状影主体
・そこまでがちがちにならない→ステロイド効果見込める
(特発性間質性肺炎の診断・治療ガイドラインより引用)
③COP
・週~月単位で亜急性発症
・約半数でインフルエンザ様症状を呈する
・自然消退することもある。予後良好。
・細菌性肺炎みたいに肺胞にべたっと浸潤影
・約半数で白血球上昇。約2/3でCRP上昇。
・抗菌薬に不応で浸潤影が出たり引っ込んだりしたら疑う…のかな?
④AIP
・原因が見当たらないARDS
・予後不良
これくらいなら覚えられそう…。
レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室
UpTpDate Idiopathic interstitial pneumonias: Clinical manifestations and pathology
UpTpDate Nonspecific interstitial pneumonia
UpTpDate Cryptogenic organizing pneumonia
2016年3月23日水曜日
COPD急性増悪時の対応
以前、安定期COPDの治療についてまとめたので
教科書的な記載になりますが、急性増悪の治療もまとめてみます。
最近よく出会うのです。季節柄でしょうか。
COPDのある患者さんに、呼吸苦増悪、喀痰や咳嗽の増加、喘鳴などが出現し、
ほかの原因が考えにくいときに、急性増悪と判断します。
当たり前ですが、スパイロメトリーの結果で診断するわけではありません。あくまで臨床診断。
なので鑑別診断が重要です。
気胸、心不全、心筋虚血、肺塞栓といった鑑別が浮かんでくるかが大事そうですね。
第一選択はSABA吸入。SAMAを追加してもいいです。
多くの急性増悪患者は吸入手技がちゃんとできていないそうで。
言われてみれば、そりゃそうかもしれません。
全身ステロイド投与は入院日数短縮、肺機能、再発減少の効果があるそうで、入院患者では推奨されています。ただし死亡率低下まで強いエビデンスではないです。
コクランレビューはこちら。
30mg/day程度を<7日間で投与するのがよさそうです。
コクランレビューはこちら。
経口摂取ができれば第一選択はプレドニン錠です。
感染の関与が疑われるときは抗菌薬を用います。
当然ながら起因菌を同定する努力をしたうえで、エンピリックにはβラクタム+マクロライド(またはキノロン)でしょうか。
緑膿菌をカバーするかなどで変わってきますね。
SpO2は88-92%を目標に。
中等度以上の呼吸困難、急性呼吸性アシドーシス(pH<7.35またはPaCO2>45mmHg)、頻呼吸があり、気管確保の必要がなく患者さんが協力的なら、NPPVによるBi-level PAPの適応です。
はじめはIPAP 4cmH2O/ EPAP 8cmH2O程度から始めたのでよさそうです。
実際につけてみるとわかるのですが、結構大変です。圧を上げるのは慣れてから必要があればでよいと思います。
つけてみて本人の症状が改善すればOKです。
あとは、PaO2(モニターではSpO2)をみながらFiO2の値を変えます。
S/Tで設定する最低呼吸回数は10/min程度と低くします。呼吸数を早く設定してしまうと、呼気が終わる前に吸気が来てしまいます。
モニターの値はみますが、最も鋭敏かつ信頼できる指標は「本人の自覚症状」です。
挿管+人工呼吸管理に至った場合の設定について。
どうせモニター見ながら調整するので、思い切ってわかりやすい数字にしてみました。
キーワードはpermissive hypercapniaです。
まずはA/Cで。VCVなら一回換気量は6ml/kg(理想体重)程度が良いと思います。
身長170cmの男性で400ml程度ですね。
呼吸回数は10/min程度。
早すぎると呼気が終わる前に吸気がきて、肺が過膨張してしまいます。
ミストリガーの原因ともなるので、呼気で流量波形がしっかり基線まで戻っていることを確認です。
PaCO2の正常値は目指しません。pH>7.15ならばPaCO2高値は許容します。
これをpermissive hypercapniaといいます。肺損傷を防ぐためですね。
FiO2は40%程度から開始。COPD単独で重度苦の低酸素血症を招くことはありません。
PaO2をみながら、上げ下げするのが良いと思います。
吸気流量(VCV)は75L/min程度と多めに。吸気時間も短くなっていい感じです。
抜管できるかの評価は、SBTで行いますが、
COPDの場合は、抜管直後にNPPVにするのも良いとのことです。
以上、のべつまくなしに書き並べてみました。
~参考文献~
レジデントのための感染症診療マニュアル
Washington Manual
病態で考える人工呼吸管理
http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11369520272.html
2016年2月14日日曜日
CO2ナルコーシスを疑うとき
心不全で入院中に意識低下→CO2ナルコーシスと判明というケースに出会ったので
どういうときに疑えばよいかを中心にまとめます。
CO2ナルコーシスの身体所見は以下の通り
中等度まで:そわそわ、なんとなく息苦しい、日中にのろのろしている、朝の頭痛、寝てしまう
重度または急激に悪化:意識変容、譫妄、妄想、抑うつ、混乱 進行すれば昏睡に
重度のときはほかに…羽ばたき震戦、ミオクローヌス、けいれん、入刀浮腫、表在静脈の怒張
では、どんな患者さんがCO2ナルコーシスになりうるのでしょうか。
○換気量(一回換気量×呼吸数)の減少
・「呼吸しない」
例:鎮静薬、脳症、大きな脳梗塞、中心性無呼吸、閉塞性無呼吸、脳幹障害、代謝性アルカローシス、甲状腺機能低下症、低体温などなど
・「呼吸できない」特に感染症、脱水などのストレス下で顕在化する
例:横隔膜麻痺、薬剤、中毒、胸郭異常(側彎、強直性脊椎炎など)
○死腔増加:COPD、肺炎、肺線維症など
今回体験したケースでは
心不全→中枢性低換気(Cheyne-Stokes呼吸)→CO2ナルコーシス
または利尿薬・低カリウム血症→代謝性アルカローシス→低換気→CO2ナルコーシス
が考えられます。
参考
UpToDate The evaluation, diagnosis, and treatment of the adult patient with acute hypercapnic respiratory failure
UpToDate Mechanisms, causes, and effects of hypercapnia
2016年2月13日土曜日
安定期COPDの治療
喘息の治療はなじみがあるのですが、
安定期COPDの治療は何が有効なのかあまりわからないので調べました。
まずは重症度判定です。
スパイろメトリーで判定するのはこちら
GOLD1 FEV1≧80%予測値
GOLD2 50%~80%
GOLD3 30%~50%
GOLD4 FEV1<30%予測値
GOLD 1-2だと急性増悪のリスクは年1回以下ですが、
GOLD 3-4だと急性増悪年2回以上or入院年1回以上のリスクとなります。
症状の重症度はCOPD Assessment Test(CAT)で行います。
10点が境界線です。
modifiedMRC(mMRC)分類も症状で分類します。
0 強い労作でしか息切れを感じない
1 平地で急ぎ足、もしくは緩やかな坂を歩いているときに息切れを感じる
2 同年齢の人と比べると息切れのために平地で歩くのが遅い、もしくは自分のペースで歩いていても息継ぎのために休まなければならない
3 平地で約100m歩くか、数分間歩くと息切れのために休まなければならない。
4 息切れがひどくて外出できない、もしくは着替えにも息切れする
これらの指標を組み合わせると
A群:GOLD 1-2かつ(CAT<10またはmMRC 0-1)
B群:GOLD 1-2かつ(CAT≧10またはmMRC 2-4)
C群:GOLD 3-4かつ(CAT<10またはmMRC 0-1)
D群:GOLD 3-4かつ(CAT≧10またはmMRC 2-4)
となります。
安定期の治療は、まず禁煙、そしてできる範囲で運動し、ワクチンで感染症予防をすることが大事です。
死亡率低下が証明されているのは在宅酸素くらいです。
PaO2≦55mmHgまたはSpO2≦88%で在宅酸素の適応です。
以上を理解したうえで、薬物治療は以下のようになります。
(第一選択のみ示します。薬剤名は例です)。
A群
短時間作用型抗コリン吸入薬(イプラトロピウム:アトロベント®)頓用 or
短時間作用型β2アゴニスト吸入薬(プロカテロール:メプチン®)頓用
B群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) or
長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(サルメテロール:セレベント®)
C群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) or
ステロイド吸入薬+長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(アドエア®)
D群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) and/or
ステロイド吸入薬+長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(アドエア®)
注意点としては以下の通り。
・短時間作用型を長期間処方しない
・長時間作用型を頓用で使わない
・B群になったらちゃんと長時間作用型に切り替えましょう(コクラン 2015;9 CD009552.)
・B群になったらちゃんと長時間作用型に切り替えましょう(コクラン 2015;9 CD009552.)
・ステロイド吸入薬を併用すると急性増悪の頻度は下がるが肺炎発症が多くなる(N Engl J Med. 2007 356(8):775-89.)
・スピリーバレスピマットはスピリーバカプセルと比べて死亡リスクが高いかもしれない(BMJ 2011; 342: d3215)
参考:内科診療ストロング・エビデンス(2014)
薬のデキュスタシオン(2015)
2015年10月22日木曜日
ニューモシスティス肺炎の予防について
HIV患者も非HIV患者も、ニューモシスティス肺炎予防の第一選択はST合剤です。
1年半の観察で、発症予防効果がRR 0.04-0.62、死亡予防効果が0.03-0.94です。
(J Hospitalist Network Clinical Question 「PCP予防」を参照。Cochrane Database Syst Rev. 2014;10:CD005590.)。
予防レジメンは、バクタ1錠/日あるいは2錠分1隔日です。(ブログ「呼吸器内科医」)
5-10mg/dayのステロイドを数年にわたり服用している方を連続して受け持つ機会があったので
ステロイドの用量との関係について調べました。
UpToDateには、予防開始の基準として
・プレドニゾン20mg/day以上を1か月以上かつ他の免疫抑制状態となる原因がある(Grade1A)
・リウマチ性疾患でプレドニゾン10mg/day以上を1か月以上かつ他の免疫抑制薬を使用(Grade2B)
とあります。
他の見解としては、20mg/day以上を2-3週以上使用する場合で推奨(Clin Microbiol Rev. 2004 17:770-82.)、16mg/day以上を8週間以上使用で推奨(N Eng J Med 2004 350:2487-98)などがあります。
10mg/day以下または累積700mg/day以下では発症率は増えない(Rev Infect Dis. 1989 11:954-63)という報告もあります。
一方、≦5mg/dayでHR 1.5-2.0、5-10mg/dayでHR 1.7-2.7、>10mg/dayでHR 1.6-3.2とする研究(Arthritis Rheum 2006 54:628-34)もあり、悩ましいです。
(参考:レジデントのための感染症診療マニュアル)
これをみると、10mg/dayのプレドニゾンを他院で10年間投与されている患者に関しては、St合剤による予防はありかなと思います。
一方、5mg/dayのプレドニゾンを1年間飲んでいる患者は、他の要因も考慮して、予防は必ずしも必要ではないかなと思います。
患者、家族とShared desicion makingをするしかないですね。
2015年9月14日月曜日
呼吸困難感を細分化して考える
労作時呼吸困難感で受診し、完全房室ブロックの診断となったケースを受け持ちました。
詳しく聞いたら「運動して数分で、どれだけ息を吸っても酸素が体に入っていかない感じになる」とのことでした。
心不全やCOPDの時の労作時呼吸困難感とはちがう訴えだなと思ったので、考察してみます。
そもそも、呼吸困難感とはなにか。
American thoracic societyでは、dyspneaをこのように定義しています。
“a subjective experience of breathing discomfort that consists of qualitatively distinct sensations that vary in intensity”(Am J Respir Crit Care Med 159:321–40)
大事なのは呼吸困難感は主観的な症状に過ぎない、
言い換えれば、呼吸困難感とは、末梢から呼吸感覚中枢に「もっと呼吸しなさい」という情報が異常に入力されることである、というところです。
というわけで、脳に情報を送る末梢の受容体毎に考えます。
①頸動脈小体や延髄に存在する化学受容体
動脈中の酸素・二酸化炭素・pHを感知する
低酸素血症や高二酸化炭素血症、アシドーシスで異常を感知
⇒Air hunger(「もっと息がしたい」「酸素が足りない」)
②肺内に存在する迷走神経受容体
肺組織の膨張や収縮・肺血管のうっ血などを感知する
気管支狭窄、心不全などで異常を感知
⇒Tightness(「息が詰まる」「胸が締め付けられる」)
③胸郭に存在する機械受容体
張力や振動を感知
COPDなど呼吸仕事量の増加で異常を感知
⇒Work/Effort(「呼吸がつかれる」「息が切れる」)
以上のように、患者の訴える表現により呼吸困難感の原因をある程度追究できるみたいです(Chronic Respiratory Disease 3:117-22)。
もちろんそれだけに頼るのではなく、増悪因子や身体所見を総合的に判断するわけです。
「息が苦しい」→「じゃあSpO2を測ろう」→「正常値だね、気のせいだよ」というmalpracticeをしないためにも
しっかり患者さんの言葉を聞いて、SpO2に反映されない異常を感知していきたいです。
参考:JIM Vol.23 No.9 2013 「息苦しい」が主訴の時
2015年8月19日水曜日
気管支拡張症について
疑う機会があったので簡単にまとめます。
種々の肺感染症が契機となって発症することが多いです。
あとは悪性腫瘍などによる気管支閉塞も契機となりえます。
数か月~数年続く咳嗽とねばっこい喀痰をみたら本症を疑います。
あとは喀血の鑑別診断の筆頭ですね。
症状の出現頻度は、咳嗽98%、毎日の喀痰78%、呼吸困難62%、鼻副鼻腔炎73%、喀血27%、繰り返す胸膜炎20%です。
女性の気管支拡張症患者における失禁の頻度は47%とのことです。
一概には言えませんが、「失禁+咳嗽」をみたら気管支拡張症を想起してもいいかもしれません。
所見では、cracklesが75%、wheezeが22%で聞こえます。ばち指を来すのは稀です。
事実上、診断はCTです。
細かいものを無視すれば、3つのサブタイプに分かれます。
・cylindrical
最も一般的なタイプです。気管支の輪切りが見えます。
・varicose
比較的まれなタイプ。
・cystic
重症。胸膜にまで広がる。二ボーが見える。
参考
UpToDate: Clinical manifestations and diagnosis of bronchiectasis in adults
American Journal of Roentgenology. 2009;193: W158-W171.
Radiopedia.org: Bronchiectasis
2015年8月18日火曜日
各種感染症検査の感度と特異度
各種感染症迅速検査について、日ごろの疑問をまとめてみました。
【ピロリ菌検査】
選択肢としては、尿素呼気試験、血清抗体検査、便抗原検査、内視鏡検査があります。
感度・特異度はどれも比較的良いみたいです。
注意点は以下の通りです。
・PPI・抗菌薬では、血清抗体検査以外の検査で偽陰性率が高くなる。
→なので検査の2週前にPPIは中止すること。
抗菌薬は4週前に中止すること。
・最近の消化管出血の既往があると、迅速ウレアーゼ検査と鏡検で偽陰性率が高くなる。
除菌判定は、除菌後4週間以降で行います。
血清抗体検査は陰性化に1年くらいかかるので使えません。
1種の検査で陰性の時に限り、追加でもう1種検査を行うことができます。
【レジオネラ尿中抗原検査】
Legionella pneumophila1型のみを検出します。
日本ではレジオネラ感染症の50%を占めるのみなので、陰性すなわちレジオネラではないとは言えません。
重症度と関連して感度もあがるみたいです。
【肺炎球菌尿中抗原検査】
これも重症度に応じて感度が上がります。
この検査を提出するときは、肺炎の診断は付いていて、でも良質喀痰がとれないときになると思いますが、そのセッティングでの特異度は良くわからないです。
小児では特異度が低くなるみたいです。
【マイコプラズマ抗体検査】
文献的にはイムノカードマイコプラズマ抗体の感度、特異度は48%と79%で、計算すると陽性尤度比2程度です。これだけみるとあまり有用ではないのかもしれません。しかも対象は発症6日以降の検体なので、もっと早期のタイミングではさらに検査特性は悪くなるかもしれません。
なお、近くの病院の臨床検査科のデータだと、感度57%、特異度92%とのことです。これだといい感じですね。
参考:総合内科999の謎、感染症999の謎
2015年7月6日月曜日
非HIV患者のニューモシスティス肺炎の画像所見
画像読影で悩むことがあったので調べてみました。
Internal Medicine 47(10), 915-923, 2008によると、
関節リウマチ患者のニューモシスティス肺炎では
diffuse homogeneous GGO with sharp demarcation by interlobular septa (type A GGO)
diffuse, homogeneous or nonhomogeneous GGO without interlobular septal boundaries (type B GGO)
この2つのGGO(Ground Glass Opacity: すりガラス状陰影)が半数ずつ見られたということです。
HIVによるニューモシスティス肺炎ではType B GGOが多いので、
非HIVでは少し違う画像を呈するということですね。
ともなく、免疫不全状態が疑わしい人にGGOをみたら
ニューモシスティス肺炎を考えよ、ということで良いのかと思います。
2015年7月5日日曜日
帯状疱疹/甲状腺機能低下症/院内感染/胸水のドレナージ
日頃の貯まった疑問をさっくり解決しましょうのコーナー。
・口腔内帯状疱疹
専攻医の先生が外来で、片側の顔面疼痛を主訴に来院した方を診察して、
歯肉にこんな皮疹があったので帯状疱疹と診断したとのことでした。
へー、こんな感じになるんですね。
こちらより引用
・帯状疱疹による脳卒中
そういや顔面の帯状疱疹って大脳の動脈炎をおこして脳卒中になることがあるってどこかで聞いたことがあるなと思い調べてみました。
UpToDateのStroke caused by varicella zoster virusでは以下の通り。
虚血性脳梗塞だけでなく、様々な病変を撮りうるとのことです。
巨細胞性動脈炎みたいに側頭動脈を侵して失明に至らせることもあります。
2/3の患者さんで脳脊髄液中単球増加します。確定診断は髄液PCR。
典型的には白質と灰白質の境界に病変がでます。
・橋本病で甲状腺結節が見られる場合
殆どが良性の結節だそうですが、乳頭がんの合併が多いという研究があるので
特に単結節の場合は注意すべきかもです。
こちらのブログを参照してください。
・甲状腺機能低下症で難聴が起こる?
こちらの論文に日本での症例報告があります。
おそらく神経障害が起こるためであろうということになっています。
甲状腺機能低下症を診断するスコアとしてBillewicz scoreがありますが、
疑えば採血すればいいと思うので、そんなに頼らなくてもいいと私は思います。
スコアの項目はしっかり覚えておきましょう。難聴もしっかり入っています。
・CRBSI
紹介状に記載があって、何コレ?と思って調べたら
カテーテル関連血流感染(Catheter Related Blood Stream Infection)のことでした。
ちなみに人工呼吸器関連肺炎はVAP(Ventilator Associated Pneumonia)です。
カテーテル関連尿路感染はCRUTI (catheter related urinary tract infection)です。
・胸水をドレナージする適応
分かりやすいのはpH<7.2です。リトマス紙さえあれば判別できます。
くわしくはこちらのブログが分かりやすいです。
2015年6月8日月曜日
肺MAC症の画像所見
既往に肺MAC症がある患者さんによく出会うのですが
大抵呼吸器症状で受診ということが多いきがするので
そもそもの肺MAC症の画像所見を勉強してみようとおもいます。
Kekkaku Vol. 84, No. 8: 569_575, 2009によれば、肺MAC症は
気管支拡張型(小結節・気管支拡張型:nodular bronchiectatic disease)
結核類似型(空洞形成型:fibrocavitary disease)
Hot tub lung(hypersensitivity like disease)
全身播種型(disseminated disease)
の4つに大別できます。
そのうち、臨床で良くみるのは気管支拡張型です。
基本的には、気管支拡張+末梢の結節影で説明がつきます。
あとは画像をたくさん見るだけ!
(Case courtesy of Dr Frank Gaillard, Radiopaedia.org. From the case Tree in bud)
(Case courtesy of Dr Natalie Yang, Radiopaedia.org. From the case Right middle lobe bronchiectasis - MAC)
どうでもいいのですが、
hot-tub lungと似た病名で緑膿菌が原因の疾患があったなと思ってしらべたら
hot-tub folliculitisのことでした。
せっかくなのでWikipediaでみつけた画像を載せておきます。
2015年5月2日土曜日
誤嚥患者への抗生剤投与/葉酸欠乏になる期間
[Foreground question]
P: 入院中に誤嚥した患者さんに
E: 吸引後すぐ抗生剤を投与するのは
C: 吸引後様子を見て肺炎発症時のみ抗生剤を投与するのに比べて
O: 入院日数がより短くなるか(有害事象が減るか…etc)
UpToDateには以下の記載あり。
Antimicrobial agents are commonly given following a witnessed aspiration because of the difficulty in excluding bacterial infection as a contributing or primary factor. In patients who are severely ill, the empiric use of antibiotics is appropriate. However, if no infiltrates develop after 48 to 72 hours, it is appropriate to stop antibiotics.
(Aspiration pneumonia in adultsより引用。赤色は管理人によるもの。)
引用文献は載っておらず、Experts' opinionであると考えられる。
Dynamedには記載なし。
PubmedとGoogle scholarで、検索語句を変えていろいろ試してみたのですが
私の文献検索能力のせいなのか、それとも研究がされてないのか
文献を見つけることは出来ませんでした。
[Background question]
ビタミンB12は水溶性ビタミンながら肝臓に貯蓄されるので不足症状でるのに5~10年かかる。
では、葉酸はどれくらいの期間欠乏すれば貧血になるのか。
UpToDateには以下の記載あり。
Alcohol abuse produces a sharp fall in serum folate within two to four days by impairing its enterohepatic cycle and inhibiting its absorption. Thus, alcoholics on a low folate intake can develop megaloblastosis within 5 to 10 weeks. This period is shorter than the four to five months required in normals in part because alcoholics start with lower stores due to previous dietary habits.
(Etiology and clinical manifestations of vitamin B12 and folate deficiencyより引用。赤色、太字は管理人によるもの。)
正常人だと4~5ヶ月、アルコール依存症患者だと5~10週で葉酸欠乏になるみたいです。
ちなみに、葉酸値は直前の食事の影響を受けやすいため、偽陽性、偽陰性がでやすいです。
とくにアルコール依存症患者で入院してたりすると、お酒のまない分食事をしっかりとってくださって、葉酸値が偽陰性になる、というケースが考えられます。
2015年5月1日金曜日
NEJM Case14-2015
NEJM Case Recordです。
今週は議論が込み合っていて、すっきりとした結論が出ているわけではないのですが
「目に見えているものだけが真実とは限らない」という感じでエキサイティングでした。
Case 14-2015 — A 58-Year-Old Woman with Shortness of Breath
【患者】ジョギングが日課である58歳女性
【主訴】8か月前から進行する息切れ
8か月前にジョギング時の息切れを自覚。症状はどんどん進行し、階段を上っただけでも息切れが出るように。足のだるさもでてきた。喘息治療は効果なし。心エコー正常。Dダイマー正常。
陰性所見:起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難、wheezing、浮腫、咳嗽、喀痰、発赤、悪寒、頬部圧迫感、同期、便変化、排尿症状、チアノーゼ、ばち指、リンパ節腫大
既往:骨粗鬆症、偏頭痛、脂質異常症、季節性アレルギー、軽度AST・ALT高値、乳腺石灰化
薬剤:アレンドロネート、シムバスタチン、ロラゼパム
生活:アルコールなし、30年前に禁煙(3年間のみ喫煙)
%FVC 101%, %FEV1 97%, FEV1/FVC 0.76, %TLC 97%, %DLco 92%
AST 56, ALT 60, ANA (+; 1:40), RF(-), ANCA(-), その他血液検査異常なし
CTは以下の通り。
プロブレムリストは以下の通り。
#進行性の重篤な労作時呼吸困難
#両側上肺野中心に結節(数個)と胸膜肥厚(葉間裂にわたる)
#下肢のだるさ
そしてとても大事なことが…
#症状の割に
・画像所見が派手じゃない
・呼吸機能検査に異常がない
・労作時呼吸困難以外の呼吸器症状がない
私が最初読んだときは、この「症状との乖離」に気づくことができませんでした。
最終診断を下すよりよっぽど大事なことだと思います。
肺野に多発結節があるときの3大鑑別診断は、感染症、癌、血管炎です。
感染症は、結核や真菌症(ヒストプラズマとか)が挙がりますが、咳嗽や発熱がなかったり期間が長すぎたりと、合わない点が多いです。
癌の多発転移だと、普通は下肺野中心です。
血管炎だとしても、発熱や手足のしびれ、腎障害といった他の症状に乏しいです。
というわけで、どうもこの結節は間質性の変化みたいです。
肺間質の疾患は、サルコイドーシス、過敏性肺臓炎、肺ランゲルハンス細胞組織球症、塵肺症などが挙げられます。
特定の物質の曝露歴はありませんし、喫煙者ではないため肺ランゲルハンス細胞組織球症も否定的です。ただし、サルコイドーシスを完全に除外することはできません。
画像的に本例と合致する疾患は以下の通り。
特発性器質化肺炎(COP)
慢性好酸球性肺炎
膠原病関連間質性肺疾患(膠原病の全身症状が出る前に間質性肺疾患が出ることがある)
ここで、初めに述べた「症状との乖離」についてもう一度考えてみます。
もしこの患者に画像的な異常がなかったらと考えると、
呼吸困難は呼吸器によるものではなく、呼吸筋によるものではないか、
下腿のだるさと、薬剤歴を踏まえると
スタチンによるミオパチーが挙がってきます。
スタチンが間質性肺疾患を引き起こすことも、非常に稀ながらあるみたいでして、
いよいよこれで決まりか、と思ってしまいますが、
実際は、スタチンは数週間前に始まったばかりであるとのこと。あらら。
生検の結果、特発性のpleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)との診断が下されました。
くだんの「症状との乖離」ですが、
・腰痛があり、歩きにくいのはそのせいと考えることもできる
・子どもが7年前に頭部外傷による障害を負い、それがストレスになっている
・強く症状を訴えているが、いまでも7kmのジョギングをこなすことができる
ということがさらなる医療面接で明らかとなりました。
最終診断こそマニアックですが
診断をしていく上で非常に大切な事項が盛りだくさんでした。
~Clinical Pearls~
・目に見えるものだけが真実とは限らない
・「症状と検査との乖離」に気づく。「検査値正常」はときに異常である。
・心惹かれる所見に出会ったら、本当にそれで全てが説明できるか考える。
・患者の訴えは、overestimateもunderestimateも避けるべし。
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