2016年2月14日日曜日

CO2ナルコーシスを疑うとき



心不全で入院中に意識低下→CO2ナルコーシスと判明というケースに出会ったので
どういうときに疑えばよいかを中心にまとめます。


CO2ナルコーシスの身体所見は以下の通り

中等度まで:そわそわ、なんとなく息苦しい、日中にのろのろしている、朝の頭痛、寝てしまう

重度または急激に悪化:意識変容、譫妄、妄想、抑うつ、混乱 進行すれば昏睡に
重度のときはほかに…羽ばたき震戦、ミオクローヌス、けいれん、入刀浮腫、表在静脈の怒張


では、どんな患者さんがCO2ナルコーシスになりうるのでしょうか。

○換気量(一回換気量×呼吸数)の減少

・「呼吸しない」
例:鎮静薬、脳症、大きな脳梗塞、中心性無呼吸、閉塞性無呼吸、脳幹障害、代謝性アルカローシス、甲状腺機能低下症、低体温などなど

・「呼吸できない」特に感染症、脱水などのストレス下で顕在化する
例:横隔膜麻痺、薬剤、中毒、胸郭異常(側彎、強直性脊椎炎など)

○死腔増加:COPD、肺炎、肺線維症など


今回体験したケースでは
心不全→中枢性低換気(Cheyne-Stokes呼吸)→CO2ナルコーシス
または利尿薬・低カリウム血症→代謝性アルカローシス→低換気→CO2ナルコーシス
が考えられます。

参考
UpToDate The evaluation, diagnosis, and treatment of the adult patient with acute hypercapnic respiratory failure
UpToDate Mechanisms, causes, and effects of hypercapnia