2018年11月12日月曜日

咳喘息について


咳喘息(cough variant asthma)
自分が罹患した(暫定診断,本日よりICSで診断的治療開始)ため,基礎知識をまとめます.

・可逆性のある気道閉塞は見られることもあれば見られないこともある
・逆に咳喘息でない咳嗽患者で気道可逆性が見られることもある
・スパイロメトリーは33%の患者で偽陽性,メサコリン負荷試験は22%で偽陽性(PMID: 19121405)
・ゆえに最も確実な診断法はICS(吸入ステロイド)による診断的治療
・経過中に成人で30%程度が気管支喘息に移行
(以上,UpToDate: Evaluation of subacute and chronic cough in adultsより)

日本の診療ガイドラインをみても,やはり第一選択はICSですね.


アトピー咳嗽とどのように区別してよいのかいまいちよくわかっていません.
病態が違うことは理解できる(咳喘息は気管支平滑筋収縮,アトピー咳嗽は咳受容体感受性亢進:上述のガイドラインによる)のですが,どっちもICSが効きます.
鑑別点はβ刺激薬の効果の有無だとおもうのですが,診断的治療をICSでするなら鑑別しようがないのではと思ってしまいます.
ICSを2週間使って効果がいまいちならH1 blocker併用というので良いのでしょうか.余り腑に落ちていないです.
それとも,典型的な症状(のどのあたりがいがいが,ぞわぞわする)があればH1 blockerから開始,とするのでしょうか.

UpToDateにはnonashmatic eosinophilic bronchitisについての記述がありますが,これもICSが効きます.


細かい鑑別を追求するより,見逃してはいけない肺がんと結核をしっかり除外する方にエネルギーを割いたほうが良いのかもしれません.

気管支拡張症は…CTを撮らない限り診断は難しいのではと思ってしまいます.
膿性痰がずっと出ているような場合で考慮するのでよいのでしょうか.
喀痰抗酸菌培養で肺MAC症を診断した場合は,アジスロマイシン・リファンピン・エタンブトールを喀痰培養12か月間確認するまで投与です.薬剤副作用に注意ですね.
(UpToDate: Treatment of Mycobacterium avium complex lung infection)