喘息の治療はなじみがあるのですが、
安定期COPDの治療は何が有効なのかあまりわからないので調べました。
まずは重症度判定です。
スパイろメトリーで判定するのはこちら
GOLD1 FEV1≧80%予測値
GOLD2 50%~80%
GOLD3 30%~50%
GOLD4 FEV1<30%予測値
GOLD 1-2だと急性増悪のリスクは年1回以下ですが、
GOLD 3-4だと急性増悪年2回以上or入院年1回以上のリスクとなります。
症状の重症度はCOPD Assessment Test(CAT)で行います。
10点が境界線です。
modifiedMRC(mMRC)分類も症状で分類します。
0 強い労作でしか息切れを感じない
1 平地で急ぎ足、もしくは緩やかな坂を歩いているときに息切れを感じる
2 同年齢の人と比べると息切れのために平地で歩くのが遅い、もしくは自分のペースで歩いていても息継ぎのために休まなければならない
3 平地で約100m歩くか、数分間歩くと息切れのために休まなければならない。
4 息切れがひどくて外出できない、もしくは着替えにも息切れする
これらの指標を組み合わせると
A群:GOLD 1-2かつ(CAT<10またはmMRC 0-1)
B群:GOLD 1-2かつ(CAT≧10またはmMRC 2-4)
C群:GOLD 3-4かつ(CAT<10またはmMRC 0-1)
D群:GOLD 3-4かつ(CAT≧10またはmMRC 2-4)
となります。
安定期の治療は、まず禁煙、そしてできる範囲で運動し、ワクチンで感染症予防をすることが大事です。
死亡率低下が証明されているのは在宅酸素くらいです。
PaO2≦55mmHgまたはSpO2≦88%で在宅酸素の適応です。
以上を理解したうえで、薬物治療は以下のようになります。
(第一選択のみ示します。薬剤名は例です)。
A群
短時間作用型抗コリン吸入薬(イプラトロピウム:アトロベント®)頓用 or
短時間作用型β2アゴニスト吸入薬(プロカテロール:メプチン®)頓用
B群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) or
長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(サルメテロール:セレベント®)
C群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) or
ステロイド吸入薬+長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(アドエア®)
D群
長時間作用型抗コリン薬吸入薬(チオトロピウム:スピリーバ®) and/or
ステロイド吸入薬+長時間作用型β2アゴニスト吸入薬(アドエア®)
注意点としては以下の通り。
・短時間作用型を長期間処方しない
・長時間作用型を頓用で使わない
・B群になったらちゃんと長時間作用型に切り替えましょう(コクラン 2015;9 CD009552.)
・B群になったらちゃんと長時間作用型に切り替えましょう(コクラン 2015;9 CD009552.)
・ステロイド吸入薬を併用すると急性増悪の頻度は下がるが肺炎発症が多くなる(N Engl J Med. 2007 356(8):775-89.)
・スピリーバレスピマットはスピリーバカプセルと比べて死亡リスクが高いかもしれない(BMJ 2011; 342: d3215)
参考:内科診療ストロング・エビデンス(2014)
薬のデキュスタシオン(2015)