2016年7月15日金曜日

vocal cord dysfunction


vocal cord dysfunctionによるwheezeを聴取するケースに出会ったので勉強します。
こまったときのAFP。簡潔なReview記事があったのでそれを中心に。

Vocal Cord Dysfunction  AFP 81(2) 156-9 2010

・正常声帯は、吸気に外側に開き、呼気にわずかに閉じる
・本症では、呼気、吸気のいずれかで声帯が中央に移動してしまい閉塞をきたす
・病名はいろいろ。paradoxival vocal cord dysfunction (UpToDateでは
これを使っている)、paradoxical voral cors motion、factitious asthmaなど。

・20-40歳の女性に多いが、男性にも小児にもみられる。
・呼吸困難感+吸気時ストライダー、咳嗽、窒息感、胸のつまり
・症状は軽く間欠的であることが多い。
・59%が以前に喘息と診断されていた。

・喉頭痙攣は本症のサブタイプ。失声(aphonia)や急性の呼吸困難をきたす。麻酔時に多い。
・話している時に突然嗄声になることも。

・喘息との鑑別点:呼気より吸気がしづらい、胸つまり・窒息感がある
・診断のゴールドスタンダードは喉頭鏡だけど、なんとかスパイロで診断できないかなぁ→後述
・他の鑑別は以下の通り
急を要する:アナフィラキシー、血管浮腫、喉頭蓋炎、異物
その他:甲状腺機能低下症、喉頭軟化症、クループ、声帯ポリープ/癌、喉頭硬化症(挿管後、放射線治療後など)

・運動後に発作が起きやすい。通常治療に反応しない運動誘発性喘息をみたら鑑別に!
・心理的ストレスも発作を誘発する。不安障害などあればより起きやすい。
・副鼻腔炎、GERDの併発に注意

・スパイロで胸郭外上気道閉塞の所見が出る。非発作時でもみられることがある。


・治療:まずは患者さんを安心させる。
・呼吸法の指導:浅く素早く息をするだけで横隔膜呼吸、鼻呼吸、ストローを使っての呼吸、口すぼめ呼吸、シューッと息を吐く
・ヘリウムガス(!)を吸うと速効性あり。
・誘発因子(タバコ、ほこり)をさけ、併存疾患を治療する。運動誘発ならアトロベント吸入がよいかも。