2017年10月11日水曜日

胸膜痛について


胸膜痛ではまず肺塞栓を除外せよという強いメッセージを感じます.

Pleuritic Chest Pain: Sorting Through the Differential Diagnosis
Am Fam Physician. 2017 Sep 1;96(5):306-312.

胸膜性胸痛の特徴は,呼吸時に生じる突然かつ強い胸痛で,鋭い,または刺すような,または焼けるような痛みと表現される.最も高頻度かつ重篤な原因は肺塞栓であり.胸膜性胸痛で救急を受診する患者の5-21%を占める.肺塞栓に関し妥当性が確認された臨床決断ルールを適応することで,Dダイマー測定,肺換気血流スキャン,CTアンギオグラフィーといった追加の検査を行うかどうかの参考となる.他の重篤な疾患としては,心筋梗塞,心膜炎,大動脈解離,肺炎,気胸があり,上記疾患以外の診断を下す前に,病歴と身体診察,心エコー,トロポニン測定,胸部レントゲンを用いて除外すべきである.冠動脈疾患を除外するのに有用な,妥当性が確認された臨床決断ルールを用いることができる.胸膜性胸痛を引き起こす最多の要因はウイルスである.病原としてよくみられるものに,コクサッキーウイルス,RSウイルス,インフルエンザ,パラインフルエンザ,ムンプス,アデノウイルス,サイトメガロウイルス,EBウイルスがある.胸膜性胸痛の治療は原因疾患の治療に準じる.ウイルス性または非特異的な胸膜性胸痛の場合は,疼痛コントロールとしてNSAIDsが適している.症状が持続する患者,喫煙者,肺炎のある50歳以上の患者では,初期治療から6週後に再度胸部レントゲンを撮影し,画像上の改善を確かめることが重要である.