2015年10月22日木曜日

ニューモシスティス肺炎の予防について


HIV患者も非HIV患者も、ニューモシスティス肺炎予防の第一選択はST合剤です。
1年半の観察で、発症予防効果がRR 0.04-0.62、死亡予防効果が0.03-0.94です。
(J Hospitalist Network Clinical Question 「PCP予防」を参照。Cochrane Database Syst Rev. 2014;10:CD005590.)。

予防レジメンは、バクタ1錠/日あるいは2錠分1隔日です。(ブログ「呼吸器内科医」)


5-10mg/dayのステロイドを数年にわたり服用している方を連続して受け持つ機会があったので
ステロイドの用量との関係について調べました。

UpToDateには、予防開始の基準として
・プレドニゾン20mg/day以上を1か月以上かつ他の免疫抑制状態となる原因がある(Grade1A)
・リウマチ性疾患でプレドニゾン10mg/day以上を1か月以上かつ他の免疫抑制薬を使用(Grade2B)
とあります。

他の見解としては、20mg/day以上を2-3週以上使用する場合で推奨(Clin Microbiol Rev. 2004 17:770-82.)、16mg/day以上を8週間以上使用で推奨(N Eng J Med 2004 350:2487-98)などがあります。

10mg/day以下または累積700mg/day以下では発症率は増えない(Rev Infect Dis. 1989 11:954-63)という報告もあります。
一方、≦5mg/dayでHR 1.5-2.0、5-10mg/dayでHR 1.7-2.7、>10mg/dayでHR 1.6-3.2とする研究(Arthritis Rheum 2006 54:628-34)もあり、悩ましいです。
(参考:レジデントのための感染症診療マニュアル)

これをみると、10mg/dayのプレドニゾンを他院で10年間投与されている患者に関しては、St合剤による予防はありかなと思います。
一方、5mg/dayのプレドニゾンを1年間飲んでいる患者は、他の要因も考慮して、予防は必ずしも必要ではないかなと思います。

患者、家族とShared desicion makingをするしかないですね。