Dakin FH, Meier N, Ladds E, et al. Teamwork and relational infrastructure: a qualitative study of modern UK general practice. Br J Gen Pract. 2026 May 28;76(767):e464-e478. https://doi.org/10.3399/BJGP.2025.0603
背景
現代の家庭医療における臨床スタッフとサポートスタッフは、業務量が多く、常に変化し、断続的に危機が発生する状況下で、対面診療とデジタル診療の両方の形態を駆使して、質の高い安全な医療を提供する必要がある。このような環境に対応するには、認知的にも感情的にも大きな負担がかかり、複雑なチームワークが求められる。そのため、スタッフの士気は低下しがちで、離職率も高くなる可能性がある。
目的
現代の英国における家庭医療の状況が、スタッフの幸福感やチームワークにどのように影響するかを理解し、職場文化のこれらの側面を改善する方法についての理解を深めること。
研究デザインとセッティング
イングランド、ウェールズ、スコットランドにまたがる10の家庭医療診療所を対象とした複数拠点での事例研究
方法
事例研究を作成するために、民族誌的観察、インタビュー、フォーカスグループなど、複数の質的手法を用いた。まず、理論構築に焦点を当てた2つの実践事例について、詳細な縦断的事例研究を実施し、それを他の8つのより焦点を絞った事例研究と比較した。分析は、心理的安全性、関係性調整、注意基盤など、組織研究の理論に基づいている。
結果
従業員の幸福度と効果的なチームワークは、良好なチーム関係に依存していた。こうした関係が重視され、育まれている組織(つまり、強固な関係基盤を持つ組織)は、チーム関係が積極的に育まれていない組織に比べて、チーム意識が強く、業務の調整が円滑で、従業員の全体的な幸福度が高いことが明らかになった。従業員間の関係は、様々な個々の行動と組織のルーチンを通じて構築され、維持されていた。
結論
本研究では、チームの関係性、コミュニケーション、および連携を改善する可能性のある「関係性インフラストラクチャ」のいくつかの要素を特定しました。これは、変化や危機に耐える実践の回復力を高める可能性もあります。
感想
アブストだけ読むと、そんなもんかーという感じですが、本文読むととても面白いです。
筆者たちの言う「関係性インフラ」が高い職場では、「そこにはある種の忠誠心がありました。皆、長く勤めていたため、家族のような感覚を抱いていました。」「まるで同じ目標に向かって一緒に努力しているような感覚です。」「彼が助けを得られたのは嬉しいです。私が一人でやったと思わないでください。みんなでやったんです。それぞれが役割分担をしています。 […]私たちは互いを尊重し合っています。建物全体が一つのチームとして機能しているんです。」という発言が見られます。
一方、関係性インフラが低い職場では、「同じ人が何度も何度も在宅勤務に行って、責任者は私たちの2倍の給料をもらっている。私は受付に出るべきなんだけど、オンライン相談が多すぎるんだ。」「組織階層は2層に分かれていました。最上位には臨床医がいて、下位層は事務と受付です。事務部門はサポート体制がやや弱く、チーム意識も低く、繋がりも希薄です。彼らは診療の中核を担う存在とは見なされていませんでした。」という発言が見られます。
関係性インフラに貢献する要因として、オープンな対話とリーダーシップ以外にも、研修をしっかりしているという組織文化も上がりました。一方で、関係性が強すぎて阻害されてしまうスタッフがいるというマイナス面もありました。
今自分がしている研究とも密接に関係する知見で、素晴らしい論文でした。