2026年6月8日月曜日

突然発症か、それとも瞬間的なピークか。

 Takada T, Suzuki R, Honjo H, Miyajima M, Kubota T, Fukuhara S. Diagnostic Performance of Onset Characterization vs. Time-to-Peak Assessment in Acute Abdominal Pain. J Gen Intern Med. 2026 Jun;41(8):2128-2134. https://doi.org/10.1007/s11606-025-10082-y


背景

急性腹痛の診断、特に破裂、解離、血管閉塞、捻転、穿孔といった生命を脅かす状態を特定するためには、症状発現の正確な評価が不可欠である。しかしながら、疼痛発現を評価する最適な方法は依然として不明である。


目的

疼痛の発症を評価するための2つの問診方法の診断性能を比較する。1つは、疼痛が突然始まったかどうかを尋ねる突然発症、もう1つは、疼痛が最大強度に達するまでにかかった時間を尋ね、「瞬間的なピーク」の回答を陽性とみなすピーク到達時間評価である。


デザイン

2022年12月から2024年10月にかけて、日本の単一の急性期病院で実施される前向き診断研究。


患者

救急外来を受診した、腹痛の持続期間が7日以内の成人患者を連続的に抽出し、評価を行った。


主な対策

主要評価項目は、造影CT検査所見または臨床経過観察によって確認された、腹腔内臓器の破裂、解離、血管閉塞、捻転、または穿孔といった標的病態の存在とした。各アプローチについて、特異度、感度、陽性予測値、陰性予測値、尤度比、診断オッズ比などの診断指標を算出した。


主な成果

629人の患者(年齢中央値58歳[四分位範囲(IQR)44~72歳]、男性48.5%)のうち、20人(3.2%)が対象疾患と診断された。特異度は、突然発症で86.7%(95%信頼区間[CI]83.8%~89.2%)である一方、ピーク到達時間の評価では94.3%(95% CI 92.1%~95.8%)に改善した(P  < .001)。感度は、突然発症で40.0%(95% CI 21.9%~61.3%)、ピーク到達時間で30.0%(95% CI 14.5%~51.9%)であった(P  = .48)。


結論

ピーク到達時間評価は、突然発症の特徴付けと比較して、感度を大きく損なうことなく、より高い特異度を示した。この方法は、急性腹痛患者における重篤な腹腔内疾患の診断に役立つ可能性がある。しかし、どちらの方法も単独では生命を脅かす疾患を除外するには不十分である。


感想

感度が40.0→30.0になっているのは「大きく損なうことなく」で、特異度が86.7→94.3となっているのを「より高い特異度」と記述するのは、いささかやりすぎではないかと思います。研究自体は面白いです。すぐピークに達する腹痛でなければ少し落ち着いて対応できるということかなと思います。