2021年6月25日金曜日

質的データ収集にrich pictureを用いる

Molinaro ML, Cheng A, Cristancho S, LaDonna K. Drawing on experience: exploring the pedagogical possibilities of using rich pictures in health professions education. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Jun 21. doi: 10.1007/s10459-021-10056-9. Epub ahead of print. PMID: 34152494.

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10459-021-10056-9

リッチピクチャーとは,複雑な現象を参加者が描いた絵のことで,医療における多面的で感情的なトピックを探るための有効な手法として,臨床研究や医療専門家教育の分野で注目されている。例えば,最近行われた2つの研究では,新生児集中治療室(NICU)での難しい会話に関する研修医,医療従事者,保護者の体験を,半構造化インタビューに加えてリッチピクチャーを用いて明らかにした。どちらの研究でも、参加者には、この環境でどのように難しい会話を経験したかを絵に描いてもらった。インタビューでは,参加者がどのように絵を描いたのか,また,この研究手法の利点と限界についての認識を共有してもらった。ここでは、参加者の視点を報告し、医療専門職の教育と研究における教育的革新のためにリッチピクチャーを使用することの可能性について考察する。

感想

半構造化インタビュー+rich pictureを使ってデータ収集が行われた2研究のデータを再利用し,rich pictureを使うことの利点と限界について考察した研究.比喩や色彩などを使って複雑な情報を伝えることができる,絵をかくときに省察が促される,といったテーマが扱われていました.研究者が絵そのものを解釈する,というより,グルプインタビューなどと組み合わせて参加者の語りの質的,量的な深化をうながす,という使い方が良いのでしょう.特に,医療現場の経験を言語化する経験の乏しい患者や学生,研修医にとって有用である可能性が指摘されています.