2021年6月7日月曜日

糖尿病患者の自己管理の行動計画を設定する際の留意点

Examining Variations in Action Plan Quality Among Adults With Type 2 Diabetes in Primary Care

Pernille H. Kjaer, Lawrence Fisher, Michael B. Potter, Mansi Dedhia, José Parra, Niels Ejskjaer, Søren Skovlund, Danielle Hessler

The Journal of the American Board of Family Medicine May 2021, 34 (3) 608-617; DOI: 10.3122/jabfm.2021.03.200285

https://www.jabfm.org/content/34/3/608


はじめに 

協調的な目標設定と行動計画は、2型糖尿病患者の自己管理支援の重要な要素であるが、行動計画の質や2型糖尿病プライマリケアにおける質の相関関係についてはほとんど知られていない。


方法

12のプライマリケア施設の2型糖尿病患者が、以下のいずれかに参加した。「健康へのつながり(CTH)」(6施設)では、健康調査の後、共同でアクションプランを作成した.「エンゲージメント強化CTH(EE-CTH)」(6施設)では、患者のエンゲージメントを促進する関係構築のための追加トレーニングを行った。行動計画の質は、糖尿病のための目標設定評価ツール(GET-D)の適応版を用いて評価した(二重コーディング20%、評価者間信頼性[IRR]80%以上)。患者の特性との関連は、診療所や介入群によるクラスタリングを調整した一般化線形混合モデルを用いて検討した。


結果 

行動計画の質は、0~20点満点で平均点±標準偏差(SD)が14.62±3.87(n=725)で、全体的に中程度の高さであった。健康リテラシーの高さ(β=1.184、95%CI、0.326-2.041、P=0.007)、社会的リスクのなさ(β=0.416、95%CI、0.062-0.770、P=0.021)は、行動計画の質の高さと関連していたが、性別、年齢、言語、教育レベル、うつ病、ストレス、健康上の苦痛は、質とは無関係であった(P値は有意ではなかった)。質の高さは、計画に対する患者の信頼度の高さと関連していた(β = 0.050; 95% CI, 0.016-0.084, P = 0.004)。


結論 

行動計画の質の評価にはかなりの差があったが、評価はほとんどの患者の人口統計学的または精神的健康の指標に基づいて体系的に異なるものではなかった。この結果は、行動計画はヘルスリテラシーと社会的リスクに合わせて作成すべきであることを示唆している。さらなる研究では、質とより長期的な臨床転帰との関連を検討すべきである。


感想

量的研究でここまで迫れるんだと驚きました.「糖尿病患者の行動計画はヘルスリテラシーと社会的リスクに合わせて作成すべき」というのは臨床で常に心にとどめておくべきですね.