2021年6月4日金曜日

ACPのためのグループ訪問が起こす変化

Ahluwalia, SC, Bandini, JI, Coulourides Kogan, A, et al. Impact of group visits for older patients with heart failure on advance care planning outcomes: Preliminary data. J Am Geriatr Soc. 2021; 1– 8. https://doi.org/10.1111/jgs.17283

目的

心不全患者にとってアドバンス・ケア・プランニング(ACP)は非常に重要であるが、重要な課題が存在する。グループ訪問は、資源効率のよい方法で、患者と介護者が将来のケアに対する価値観や嗜好を確認するのに役立つ方法である。我々は、高齢の心不全患者とその介護者を対象としたACPのためのグループ訪問が、ACP関連のアウトカムに与える影響を評価することを目的とした。

方法

心不全の高齢者とその介護者を対象としたACPグループ訪問が、レディネスや自己効力感などのACP関連のアウトカムに与える影響を評価するため、混合法によるパイロット研究を行った。エビデンスに基づくPREPARE for Your Careのビデオベースの介入を、グループ訪問のガイドとして使用した。20人の患者と10人の介護者が、訓練を受けたファシリテーターによる90分間のグループ訪問5回のうち1回に参加した。グループ訪問の参加者は、ACPのレディネスと自己効力感を5段階で評価する有効な尺度を用いて、訪問前、訪問後、1カ月後に調査を行った。また、グループ訪問後3日以内に得られた質的フィードバックは、直接内容分析を用いて分析した。

結果

患者の参加者の年齢の中央値は78歳であった。患者の約半数は女性で、介護者はほとんどが女性であった。参加者には白人が多かった。患者のレディネスのスコアは、事前と事後で有意に改善したが(+0.53; p = 0.002)、1ヵ月後のフォローアップでは持続しなかった。患者と介護者の自己効力感は、事前に若干の改善が見られたが、フォローアップでは持続しなかった。インタビューでは、グループ訪問のポジティブな影響が3つのテーマで明らかになった。すなわち、過去のACP活動の見直しや再検討を促すこと、患者がACPに向けて直接的なステップを踏む動機付けとなること、そして行動への「目覚め」の呼び水となることであった。

結論

疾患に焦点を当てたグループ訪問は、ACPの成果に短期的な効果をもたらす可能性があるが、ACPを長期的に維持するためには継続的なタッチポイントが必要であると考えられる。今回の結果は、1回のグループ訪問後のACP会話のフォローアップの必要性を強調するものであった。フォローアップのタイミングと、ACP会話をフォローアップする理想的な人物像を検討する必要がある。

感想

とても興味深い混合研究の論文.心不全患者に対し小グループでACPについての話し合いを行うことでどうなるのかを探索した研究.Nは20名の患者と10名の介護者なので,preliminary dataではあるがこの規模なら自分たちでもできそう.