2014年11月25日火曜日

内側側頭葉てんかん症候群(ハリソン問題集)



ハリソンの問題集を解き進めております。
知的好奇心をくすぐられます。





内側側頭葉てんかん症候群の患者の評価を依頼された。患者には難治性の部分てんかんがある。発作はしばしば前兆を伴い、行動停止、自動症、一側性ジストニア肢位を呈する。MRIではT2協調で高信号かつ萎縮した側頭葉海馬が見える。追加で聴取される可能性の高い既往歴はなにか。(選択肢割愛)


例によってUpToDateを。
Localization-related (focal) epilepsy: Causes and clinical feature より関連記載をまとめます。

・内側側頭葉てんかんは、側頭葉てんかん(TLE)の大部分を占める。

・TLEは複雑部分発作を呈することが多い。1/3で全般発作を続発する。けいれん重積状態になることは少ない。

・内側TLEの最も多い原因は海馬硬化(HS)である。病変は両側性かつどちらかがより目立つのが典型。



・生育・発達歴はたいてい正常だが、熱性けいれんの既往が見られることが多い(TLE67例中54例)。

・内側TLEのてんかんの特徴を挙げる。
 ○前兆がある
 ○30-120秒続く行動停止・凝視
 ○自動症
 ○片側性の症状がみられる
 ○発作中の発語、感情表現(笑う、泣くなど)、過運動発作(体幹を左右に振るなど)、leaving behavior(歩き去ってしまう)が見られることもたまにある
 ○postictal confusionで、病側の手で鼻を拭く動作がよくみられる。
 ○急激な頻脈を伴う

・発症は思春期が多い(80%以上は16歳以下)。進行性であり、60-90%は薬剤抵抗性


ハリソン問題集には、薬剤抵抗性かつ手術でとっても良くなるから、この症候群を独立して捉える必要があるとされています。


というわけで答えは、「熱性けいれんの既往」でした。