2015年1月15日木曜日

問題篇:NEJM Case2-2015



今週のNEJM Case Records of the Massachusetts General Hospitalです。
先週のCase1-2015は、乳癌の転移についての内容でした。
診断を考えるという類ではありませんでしたので、ブログには纏めませんでした。

解説は次の記事を見てくださいね。

かいつまんでまとめてあります。全文を読みたい方はこちらへ。


Case 2-2015
A 25-Year-Old Man with Abdominal Pain, Syncope, and Hypotension

【患者】生来健康な25歳男性

【主訴】腹痛、失神、低血圧

【現病歴】
重い箱を持ち上げたときに、突然、全身が温かい感じがして、心窩部と右上腹部から腹部全体に放散する不快感が生じた。その後、口、舌、腕、脚がしびれてきた。
次の数分間で、視界がぼやけ真っ暗になった。意識が遠のき歩道に倒れた。非血性・非胆汁性の嘔吐があり、意識を失った。体は震えていた。救急車が呼ばれた。
救急隊員到着時点で、GCS3点。発汗あり、呼吸は浅く、歯を食いしばっていて、失禁していた。バックバルブマスクによる人工呼吸開始。血圧53/27、脈拍90、モニターでは洞調律。生食ボーラス。3分経過して血圧60/28、脈拍118、自発呼吸再開、ノンリザーバーマスクに変更。
血糖73mg/dl、ナロキソン投与も症状改善なし。搬送中にGCS9点に回復。血圧は102/73→83/31と変動あり。脈拍90、呼吸数17-21。
症状が出てから30分後に救急部に到着。状態は迅速に回復し意識もかなり戻ってきた。腹痛あり(2点/10点)。何が起こったか覚えていない。頭痛、胸痛、同期、痙攣の前兆はない。シャワーを浴びるときに時々かゆくなるとのこと。

【既往歴】虫垂切除
【薬剤歴】なし
【アレルギー歴】なし
【家族歴】父親:心血管疾患、心筋梗塞で59歳で死亡 痙攣・癌の家族歴なし
【生活歴】アルコール、タバコ、違法薬物なし
生まれはルーマニア、6年前に渡米。年1回ルーマニアに帰省する。ルーマニアで野良犬との接触あり。6年前にインド、7年前に中国に旅行。

【身体診察】
見当識あり。血圧98/48、脈拍128、体温36.0℃、呼吸数16(自発)、SpO2 99%(酸素15l)→98%(r/a)
瞳孔径同じ、対光反射(+/+)
肺音清、心音異常なし、左側胸部に中程度の叩打痛あり。
グル音あり、心窩部と腹部右側に圧痛あり、自発的な腹壁防御がある。
皮膚は全体に発赤。温かく青白い発疹が頸、胸、腹部にある。
指趾は冷たく、浮腫や蕁麻疹はない。
GCSは15まで回復、神経学的所見異常なし。

モニターは洞性頻脈で期外収縮なし。血液検査を施行(下表)。
腹部エコーでは腹腔内の液体貯留は見られない。肝臓に低エコー領域あり。

到着後1時間で、震えと嘔吐が出現。生食とオンダンセトロン投与。胸部レントゲン正常。
次の1時間で、口唇と爪床のチアノーゼと手の浮腫が出現。再度血液検査を施行(下表)。
4時間で生食2l、血圧96/52、脈拍77、SpO2 99%(r/a)。




さて、あなたの診断は?