2015年1月15日木曜日
「最貧困女子」を読みました
世の中で、最も残酷なこととはなんだろうか?
それは、大きな痛みや苦しみを抱えた人間に対して、誰も振り返らず誰も助けないことだと思う。
(本書あとがきより引用)
「最貧困女子」
著者の鈴木大介さんは、いわゆる裏社会の少年少女を取材しているルポライターです。
本書は、最も劣悪な環境にいる女性を描いたルポルタージュです。
読んでいて本当に辛くなりました。
自分の周りで起こっているとは思えない、残酷で救いのない現実。
虐待や障害、本来ならもっとも救済されなければいけない少女が
徹底的に搾取され追い詰められ除け者にされてしまう。
なんで医者になるのだろう。
医者になってもこの方々に手を差し伸べることはできない。
医者になる意味ってあるのかな。
そう本気で考えました。
地獄のような現実に向き合わされ、途方もない無力感を抱きました。
いくら論文を読んでも
いくら手技がうまくなっても
そんなこと何の意味もない、そんな方々が現前しているのですから。
でも、圧倒されてはいけないのだと思います。
克服しなければいけないのだと思います。
徹底的に感受性を鋭くしなければいけない。
「医療」に閉じこもってはいけない。
とある小学校の先生の講演を聴いたことがあります。
虐待と貧困が子どもを如何に蝕んでいるのか
耳をふさぎたくなるような話を投げかけてくださいました。
そして最後、宮崎駿の引退会見の言葉を引用して、講演は締めくくられました。
「この世は生きるに値するんだ」
全ての子どもたちに、こう伝えるのが、私たちの役目です。
自分が腐っていてはだめです。
意地でも前を向いて、現実を変えていかなくては。