2015年1月8日木曜日

どうして薬を飲まないの?



今週のNEJMにこんな記事がありました。

Beyond Belief — How People Feel about Taking Medications for Heart Disease


降圧薬やスタチンなど、心臓血管系のイベントを予防する薬はもく用いられますが
いくら医師が処方しても服薬してくれなかったら意味がないわけです。

この記事では
「どうして患者さんは薬を飲まないのか」
について、以下の要因があるのではと考察しています。

・リスク、副作用が怖い

・自然主義、薬は"natural"ではない

・ベネフィットが感じられない

・依存したくない、「薬漬け」になりたくない


どれも納得できる理由ではあります。


個人的には、糖尿病の患者さんで
「インスリンを始めたら一生続けなければいけない」
と強く主張する方が多い印象があります。

「眼鏡をかけたらもっと目が悪くなるから、かけはじめをなるべく遅くした方がいい」
とよく親が行っていたのですが
これも上記と同じような心の動きなのでしょう。

こういうの、非科学的だと切り捨てたところでなにも始まらないんですよね。


スタチン、βブロッカー、ACE阻害薬、ARBのアドヒアランスが36-49%に留まるのに対し
血液サラサラにするというイメージの湧きやすいクロピドグレルのアドヒアランスが70%なのも
頷けるところではあります。


でも、血液サラサラという表現も眉唾物ですよね。

通販や健康番組で一時期流行った
狭い隙間を赤血球が通り過ぎていく映像
あれ、なんだったんでしょうね。医学的な意味は皆無であると思いますが。

例えば、検査で脂質に異常値がないということを
「あなたの血液はサラサラです」と説明された方がいるとします。

その方に心房細動が判明して抗凝固療法を開始しようとなったときに
「血液をサラサラにする薬を飲みます」と説明したら
いったいどうなるのでしょうか?



医療者が抱く医薬品のイメージと患者さんのイメージって
かなり異なっているのだろうと思います。