2014年12月16日火曜日

SLEの急性増悪(flare) (ハリソン問題集)



ハリソンの問題集を解き進めております。
知的好奇心をくすぐられます。





25歳女性。6か月前、軽度関節症、光過敏、蝶形紅斑、ANA(+)、anti-dsDNA(+)にて、SLEと診断された。腎機能と尿検査は正常だった。友達と一緒に砂浜に行った後、救急受診。肉眼的血尿あり、露光部に紅斑あり。手、膝、足首の滑膜肥厚あり。新たな血小板低下、白血球低下あり、血清Cre 2.5。緊急で腎生検を行うと、急性びまん性ループス腎炎に一致する像であった。適切な治療はなにか。(選択肢省略)


SLE flareという概念を初めて勉強しました。
このケースでは、紫外線により皮膚のアポトーシスが起き、flareを起こしたと考えられるようです。


UpToDate-Overview of the management and prognosis of systemic lupus erythematosus in adults-ASSESSMENT OF DISEASE ACTIVITY AND SEVERITY-Flares
の項には以下のように書いてあります。

・flareをちゃんと定義することは難しく、予測もしにくい。

・血清学的検査と疾患活動指標を用いて判断される。

中等度、重度のflareが起きたら治療を変える必要がある。

・あらゆる臓器が関係する。

・flareの予測には補体低下と抗dsDNA抗体上昇が有用。

・ただ、補体低下と抗dsDNA抗体上昇がある患者の12%は急性症状を呈さない。

・診断年齢25歳以下、腎・血管・神経障害がある患者が高リスク


flareの一例は以下の通り。

軽度:微熱、頬部紅斑、関節痛が出現し、倦怠感が増悪。軽度白血球減少。
この場合、治療は必要ない、またはhydroxychloroquineか7.5mgプレドニゾンを用いる。

中等度:SLE患者に胸膜痛と肘関節腫脹が出現。L/Dで急性反応が起きている。X線で胸水あり。
この場合、7.5mg以上のプレドニゾンを用い、アザチオプリンなどの免疫抑制薬を併用することもある。

重度:SLE患者にループス腎炎による腎不全と著明な尿蛋白出現。補体低下と抗dsDNA抗体上昇あり。
この場合、高容量のプレドニゾンを投与し、さらに免疫抑制薬を追加する。


要するに、

flareの診断には補体低下と抗dsDNA抗体上昇が重要だけど
あまり頼りすぎずに状態を綿密にモニターして
臨床的な増悪が見られたらしっかり治療しましょう

ということですかね。