2014年12月25日木曜日
問題篇:NEJM Case40-2014
今週のNEJM Case Records of the Massachusetts General Hospitalです。
解説は次の記事を見てくださいね。
かいつまんでまとめてあります。全文を読みたい方はこちらへ。
Case 40-2014
A 57-Year-Old Man with Inguinal Pain, Lymphadenopathy, and HIV Infection
【患者】HIVに感染している57歳男性
【主訴】左鼠蹊部痛
【現病歴】
10年前から左>右の鼠径ヘルニアあり、時々膨隆するも還納容易。
3か月前より、膨隆を伴う痛みが増強。
3週間前より、左側のヘルニアが大きくなり、夜間発汗を伴う間欠的な発熱を自覚
1週間前より、ヘルニアの近くに圧痛のある「硬い塊」を自覚
前日夜、口腔内体温38.1℃
当日朝、救急受診
受診時の所見
陽性:鼠蹊部痛(スケール3/10)、
陰性:悪寒、嘔気、嘔吐、腹痛
【既往歴】
8年前:HIV感染と診断、ART開始。2カ月前の検査で、HIVRNA検出限界以下、CD4+リンパ球250/mm3
8年前:カポシ肉腫(左大腿と口蓋)、ブレオマイシンで治療
他に、伝染性軟属腫、anal dysplasia(HPV感染による、anal wartsより進行)、肺MAC症(9年前に診断され、18か月の治療を受けた)、ニューモシスティス肺炎、鵞口瘡、眼窩隔膜前蜂巣炎、クリプトスポリジウムによる下痢の既往あり
3年前に一過性の肝酵素上昇あり(脂肪肝化アルコール性肝障害によると思われる)
HIV診断後すぐの検査でトキソプラズマIgG抗体(-)、8年前と5年前の検査でRPR(-)、他のSTIの既往なし
【薬剤】emtricitabine, tenofovir, rilpivirine
【アレルギー】ST合剤で溶血性貧血
【社会歴】異性愛者。離婚後、いまはHIV(+)でART服薬中の女性パートナーと同居。直近の性交歴はそのパートナーと2年前でコンドーム着用だった。喫煙30年間、アルコール毎日1-2本、違法薬物なし。製造工場で勤務。22歳の猫の世話をしているが最近噛まれたり引っ掻かれたりはない。6か月前にオクラホマから移住。白人ヨーロッパの血筋。
【家族歴】父親:冠動脈疾患 母親:線維筋痛症
【身体所見】
体温36.8℃、血圧155/79mmHg、脈拍82bpm、呼吸数18/min、SpO2 100%(r/a)
腹部平坦で圧痛や膨満はなし。左>右の鼠径ヘルニアあり、還納容易。鼠径管に一致してわずかに圧痛あり。左鼠径に3つ、大きく(最大径3cm)軽度圧痛あるリンパ節腫大あり。
【検査】
血液検査は以下の通り。
CTで左総腸骨、左外腸骨、左鼠径領域に多数のリンパ節腫大あり。壊死と考えられる低信号領域もある。傍大動脈、右鼠径領域にも小さいリンパ節腫大がある。
肝腫大(22cm)あり、下端は腸骨稜に達する。脾臓12.8cmとやや大きい。非閉塞性腎結石あり。
さて、あなたの診断は?