2015年8月6日木曜日
ビタミンB1欠乏症
・拒食がある高齢者の認知機能低下の原因評価
・貧困状態で食事できていなかった方の末梢神経障害
というケースに出会いました。
どちらもビタミンB1を測定、低値であったため補充療法開始しましたが、症状は良くならず、結局別の診断がなされました。
ビタミンB1欠乏症による症状が疑わしくて、実際にビタミンB1低値でも、ビタミンB1欠乏症であるとは限らない、ということでしょうか。
ビタミンB1の生物学的半減期は10-20日。欠乏すると以下の状態を招きます。
・脚気
成人の脚気はdry beriberiとwet beriberiに分けられます。
dry beriberiでは、対称性末梢神経障害が起きます。運動と感覚どちらの神経も侵します。
多くは四肢遠位を障害します。
wet beriberiは心肥大、心筋症、心不全、末梢浮腫、頻脈も呈します。
・Wernicke-Korsakoff症候群
アルコール関連死の29-59%を占めます。
3徴は脳症、外眼筋麻痺、歩行失調です。
しかし、すべてそろうのは1/3にすぎません。
精神状態の異常だけが出ることがそこそこあるみたいですね。
生前に診断されていたのが26/131だけであったという報告もあります。
歩行障害が他の症状に先行することもあります。
血清ビタミンB1値による判断の感度、特異度が不明であり、血清値が正常でも本症を除外できなません。
・Leigh症候群
progressive subacute necrotizing encephalomyopathyともいいます。
乳幼児に発症する神経変性疾患です。
Leigh症候群の患者でビタミンB1欠乏がよくみられます。
ただ、原因はミトコンドリア異常なので、いわゆる「欠乏症」ではないです。
参考:UpToDate
Overview of water-soluble vitamins
Wernicke encephalopathy
Hereditary neuropathies associated with generalized disorders