Matsuo Y, Yamana H, Sasabuchi Y, Matsui H, Kohro T, Yasunaga H. Hip fracture risk of lemborexant and suvorexant in comparison with Z-drugs: a target trial emulation. J Am Geriatr Soc. 2026 Oct 8. doi: 10.1111/jgs.70754.
https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.70754
背景
レンボレキサントとスボレキサントは、不眠症の薬物療法に広く使用されているデュアルオレキシン受容体拮抗薬(dual orexin receptor antagonists:DORA)である。これらの薬剤は、股関節骨折を含む有害事象に関して、一般にベンゾジアゼピン受容体作動薬(Z-drugs)より安全と考えられている。しかし、両者を直接比較したエビデンスは限られている。本研究では、高齢者において、レンボレキサントおよびスボレキサントがZ-drugsと比較して股関節骨折リスクの低下と関連するかを検討した。
方法
栃木県のデータベースを用いたコホート研究を実施した。対象は65歳以上で、レンボレキサントまたはZ-drugsを新規に開始した患者(レンボレキサント解析コホート)、あるいはスボレキサントまたはZ-drugsを新規に開始した患者(スボレキサント解析コホート)とした。主要アウトカムは、コホートへの登録後1年以内の股関節骨折による入院とした。割り付けられた薬剤を継続使用した場合の、per-protocol効果を推定した。ベースラインの交絡因子については、傾向スコアに基づく逆確率治療重み付けを用いて調整した。割り付けられた薬剤の中止、または比較対象薬への切り替えによる打ち切りについては、逆確率打ち切り重み付けを用いて調整した。調整後の累積発生率はKaplan–Meier法、ハザード比はCox回帰を用いて推定した。
結果
レンボレキサント解析コホートには22,655人が含まれ、レンボレキサント群が6,879人、Z-drugs群が15,776人であった。
調整後、レンボレキサントの使用は、股関節骨折発生率の有意な低下と関連していた(HR 0.31(95%信頼区間 0.16–0.59、p<0.001))。
スボレキサント解析コホートには22,377人が含まれ、スボレキサント群が6,699人、Z-drugs群が15,678人であった。
調整後、スボレキサント群では股関節骨折発生率が低い傾向を認めたものの、統計学的に有意な差ではなかった(HR 0.57(95%信頼区間 0.23–1.44、p=0.234))。
結論
DORAは、特にレンボレキサントについて、股関節骨折リスクの観点からZ-drugsより安全な代替薬となる可能性がある。
感想
レンボレキサント(デエビゴ)とスボレキサント(ベルソムラ)を直接比較しているわけではありませんが、デエビゴのほうに軍配が上がる結果ではありました。ビッグデータでこういうのが分かるのはいいですね。