2026年10月23日金曜日

成人ADHD(NEJM review)

 Buitelaar JK, Newcorn JH. Adult attention deficit–hyperactivity disorder. N Engl J Med. 2026;395(15):1519-1528. doi:10.1056/NEJMcp2516040.


ADHD(注意欠如・多動症)は、世界の成人の約2.5%に認められる医学的疾患であり、生涯を通じてさまざまな形で症状が現れる。成人ADHDの患者には、不安症、気分障害、睡眠障害、物質使用障害、パーソナリティ障害などの精神疾患が併存することが多い。また、肥満、心血管疾患、脳血管疾患、1型・2型糖尿病、免疫・炎症性疾患などの身体疾患も併存しやすい。そのため、成人ADHDの患者は、精神疾患から身体疾患まで、幅広い健康問題を診療する医療者を受診する可能性がある。しかし、成人ADHDは、現在でも多くの患者で認識されず、診断に至っていない。評価にあたっては、ADHDの中核症状、併存疾患、およびそれらが日常生活の機能に及ぼす影響について、患者への面接を行う必要がある。標準化された評価尺度を活用することで、評価をより体系的に進めることができる。治療の主な要素は、心理教育と、精神刺激薬または非刺激薬による薬物療法である。多くの場合、心理社会的介入や生活習慣に関する助言を組み合わせて治療を行う。


感想

成人ADHDは、典型的な多動を主訴に受診するとは限らない、というのがポイントかなと。仕事の不調や不安、不眠などをきっかけに発見されるものだと理解しておく必要があります。

本文中には気づくきっかけとして以下の項目がありました。

仕事・学業上の問題: 先延ばし、締め切りを守れない、仕事を最後まで終えられない、計画や整理が苦手。

日常生活上の問題: 忘れ物、時間管理の困難、家事や育児の段取りが苦手。

対人関係上の問題: 相手の話を遮る、衝動的な発言や行動、感情のコントロールの難しさ。

精神症状を主訴とする場合: 不安症、抑うつ、睡眠障害、物質使用の問題など。


特に、治療抵抗性のうつ病ではADHDの併存を検討し、仕事、家庭、対人関係など複数の生活領域に支障が生じていないかを確認する必要があります。

とりわけ女性では症状が見過ごされやすいようです。

パートナーや親などから情報を得ることも大事なようです。小児期の症状を正確に思い出せないからということですが、そりゃあそうですね。


一見関係ない症状(精神症状だけでなく、糖尿病や肥満、動脈硬化性疾患など)からADHDを疑い、不注意、時間管理の困難、先延ばしなどが、複数の生活領域に影響していないかを確認せよ、ということだと理解しました。

治療は専門家との協働になるかと思います。特に慢性疾患管理の際には、特性を理解するだけでもかなり対応が変わりそうではありますね。