Morris JE, Roderick PJ, Harris S, Yao G, Crowe S, Phillips D, Duncan P, Fraser SD. Treatment burden for patients with multimorbidity: cross-sectional study with exploration of a single-item measure. Br J Gen Pract. 2021 Apr 29;71(706):e381-e390. doi: 10.3399/BJGP.2020.0883. PMID: 33875419; PMCID: PMC8074644.
https://bjgp.org/content/71/706/e381.short?rss=1
背景
治療負担 treatment burdenとは、患者が自分の健康を維持するために必要な努力と、それが患者のウェルビーイングに与える影響のことである。multimorbidity患者の治療負担に関する定量的なデータは少なく、単一項目の治療負担尺度も存在しない。
目的
multimorbidityを有する高齢者の治療負担の程度と関連性を明らかにし,新しい一項目の治療負担尺度の性能を検討する。
デザインと設定
英国ドーセット州のGP診療所を対象とした横断的な郵便調査を行った。
方法
3つ以上の長期疾患(LTC)を有する55歳以上の在宅患者を診療所で特定した。治療負担は、Multimorbidity Treatment Burden Questionnaireを用いて測定した。収集したデータは、社会人口統計、LTC、薬剤、および健康リテラシーや経済的資源を含む特性である。治療負担の大きさとの関連性をロジスティック回帰法で調べた。また、新たな治療負担の単項目の測定法の性能も評価した。
結果
8つの診療所で合計835件の回答が得られた(回答率42%)。患者の平均年齢は75歳で、55%が女性(n = 453)、99%が白人(n = 822)であった。注目すべきは、39%の患者が3つ以下のLTCを自己申告していたことである(n = 325)。また、回答者の約5分の1(18%)が「治療負担が大きい」と回答しており(n=150)、生活習慣の改善や予約の手配などが特に問題となっていた。調整後では、健康リテラシーの低下と経済的困難が高い治療負担と強い関連を示し、LTCの数と処方された常備薬の数も独立して関連していた。単項目の測定値は、感度89%、特異性58%で、高負担と非高負担を中程度に識別した。
結論
高い治療負担は比較的一般的であり、回避可能な負担を最小限に抑えることの重要性が強調された。管理能力の低い脆弱な患者は、過剰な負担を強いられるリスクが高い。単項目の治療負担の測定法をさらに開発する必要がある。