2021年5月20日木曜日

政治的トピックを医学教育の場で扱う

Zaidi, Z., Henderson, R.R. and O’Brien, B.C. (2021), Exploring how physician-educators approach politically charged topics with learners. Medical Education. Accepted Author Manuscript. https://doi.org/10.1111/medu.14570

背景
医学教育者は、reproductive rightsや移民など、政治的に問題となっている健康関連のトピックについて、さまざまな信念や価値観を持っており,また遭遇する。これらのトピックに対する彼らの見解は、学習者へのアプローチ方法に影響を与えるが、医学教育者の見解と教育的アプローチを調査した研究はほとんどない。本研究では、ヘスの「論争の的になるトピックへのアプローチ」(回避、否定、特権、バランス)を概念的枠組みとして用い、政治的な問題を抱えるトピックに対する医師・教育者の見解とアプローチを調査した。そして、この理解をもとに、医学教育の中で政治的な問題に対処するための最良の方法を導き出した。方法
構成主義的な質的アプローチを用いて、政治色の強いトピックに対する医学教育者のアプローチを調査した。米国内の異なる地域にある2つの医学部の指導医37名にインタビューを行った。半構造化インタビューでは、教育現場で起こる政治的な話題を描いたヴィネットを参加者に提示した。参加者はそれぞれのヴィネットに対する自分の反応を説明した。インタビューは録音、録画され、構成主義的なテーマ分析を用いて分析されました。結果
参加者は、政治的・文化的に多様な社会に対して一定の責任を負う専門職コミュニティに参加するために、学習者を準備することについて熟考していた。政治的な話題に対して明確なアプローチをとり、学習者に自分の立場を表明する者もいれば、バランスのとれたアプローチをとり、医学的な側面にのみ焦点を当て、自分の意見を言わない者もいた。参加者が採用したアプローチには、実践の場の状況や場所が影響していた。また、どのようなトピックが医学教育の中で位置づけられているかについても、様々な意見があった。結論
今回得られた知見は、政治的に問題のある健康関連のトピックについての会話を促進し、学習者がそのようなトピックに対する独自の視点やアプローチを形成する上で、医学教育者やトレーニングプログラムが果たすべき役割を決定する上での指針となるものである。感想
この着眼点は面白いしとても重要だと思います.