2021年5月29日土曜日

不安障害と診断することへのGPと患者の見解の相違

Archer C, Kessler D, Wiles N, Turner K. GPs' and patients' views on the value of diagnosing anxiety disorders in primary care: a qualitative interview study. Br J Gen Pract. 2021 Jan 20:BJGP.2020.0959. doi: 10.3399/BJGP.2020.0959. Epub ahead of print. PMID: 33824158; PMCID: PMC8049220.

https://bjgp.org/content/71/707/e450.short?rss=1

背景

英国では、1998年から2008年にかけて、GPによる不安症状の記録は増加したが、不安障害の記録は減少した。この減少の理由は明らかではなく、プライマリ・ケアの患者にとっての治療上の意味も不明である。

目的

プライマリケアにおいて不安障害を診断することの価値について、GPと患者の見解を理解する。

デザインと設定

ブリストルとその周辺地域のGP診療所から合目的的に抽出した15名のGPと20名の患者に詳細なインタビューを行った。

方法

インタビューは、直接または電話で行われた。インタビューの一貫性を保つため、トピックガイドを使用した。インタビューは音声録音され、逐語的に書き起こされ、テーマ分析をなされた。

結果

GPは、診断コードではなく症状コードを使うことを希望していた。これは、汚名を着せる可能性のあるレッテルを貼るのを避けるためと、診断コードでは一部の患者が「病人の役割」を果たすことを助長する可能性があると考えたためである。さらに、診断コードを使用するかどうかは、症状の重症度と慢性度に依存しており、これらを時間の限られた臨床相談で確立するのは困難であった。一方、患者からは、診断を受けることで自分の症状を理解することができ、治療に取り組むことができるとのコメントがあった。

結論

GPは不安障害の診断に消極的かもしれないが、患者は診断を受けることで、自分の症状や治療の必要性を理解することができる。限られた診察時間ではGPと患者の間の話し合いが妨げられるため、プライマリケアにおける不安の管理には、フォローアップのためのアポイントメントとケアの継続性が特に重要であると考えられる。

感想

着眼点,デザイン,結論ともとても面白いです.