2021年5月24日月曜日

服薬アドヒアランスと救急受診・入院との関係

 Shani M, Lustman A, Comaneshter D, Schonmann Y. Associations of Chronic Medication Adherence with Emergency Room Visits and Hospitalizations. J Gen Intern Med. 2021 May 6. doi: 10.1007/s11606-021-06864-9. Epub ahead of print. PMID: 33959881.

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-021-06864-9


はじめに

良好な服薬アドヒアランスは、医療費の削減につながるが、通常、服薬アドヒアランスは単一の薬剤について評価される。本研究では、23種類の定期内服薬の服薬アドヒアランスレベルと緊急外来(ER)受診および入院との関連性を検討することを目的とした。内科系および外科系の病棟におけるER受診および入院を主要評価項目とした。


方法

50~74歳で、糖尿病または高血圧の診断を受け、2017年中に少なくとも1種類の降圧薬または経口血糖降下薬で治療を受けた個人を対象とした。各個人に処方された薬の平均アドヒアランス率を算出することで、個人のアドヒアランス率を決定した。アドヒアランス率はカテゴリー別に層別した。2016年~2018年の間のER受診、内科病棟および外科病棟での入院について、すべての情報を検索した。


結果

調査対象者268,792人のうち、50.6%が男性であった。平均年齢は63.7歳であった。高血圧は217,953人(81.1%)、糖尿病は160,082人(59.5%)、糖尿病と高血圧の両方が109,225人(40.6%)に記録されていた。降圧剤および経口血糖降下薬の平均使用数は2.2±1.1であった。合計すると、コホートの51,301人(19.1%)が2017年中に1回以上ERを受診し、21,740人(8.1%)が内科系病棟に入院し、10,167人(3.8%)が外科系病棟に入院した。アドヒアランスが最も高いカテゴリーと最も低いカテゴリーを比較すると、調整済みオッズ比は、ER受診が0.64(0.61、0.67)、内科病棟での入院が0.56(0.52、0.60)、外科病棟での入院が0.63(0.57、0.70)であった。オッズ比は、2016~2018年の3年連続で同様の結果となった。


結論

服薬アドヒアランスの向上は,糖尿病および高血圧症患者のER訪問および入院の減少と関連していた。服薬アドヒアランスの向上に投資することで、医療費を削減し、患者の健康を改善できる可能性がある。


感想

服薬アドヒアランスとアウトカムの改善が関係していることを示している研究.