2015年9月6日日曜日
高アンモニア血症にどう気づくか
ウレアーゼ産生菌の尿路感染症による高アンモニア血症の報告を最近よく目にする気がするので、纏めてみました。
意識障害をきたす高アンモニア血症の原因としては、やはり第1に肝性脳症が挙げられます。
他には、先天性の尿路回路酵素欠損(OTC欠損症など)、ウレアーゼ産生菌感染、薬剤(バルブロ酸など)があります。
肝性脳症の診断にアンモニア測定は必要ありません。
血清アンモニア値は様々な要因の影響を受けるため、変動が強いためです。
あえて言うなら、正常値の2倍以上となってはじめて診断的価値があるみたいです。
基本的には臨床診断です。
文献上の肝性脳症の定義は、"the development of clinically overt neuropsychiatric symptoms in patients with cirrhosis"とあり、肝硬変患者に神経精神症状が出れば肝性脳症です。
アルゴリズムでは、MMSEで24点未満ならその時点で肝性脳症として扱うことになっています。
肝性脳症の症状は、以下の図がすごくわかりやすいので掲載します。
問題は、肝硬変のない患者の高アンモニア血症にどう気づくかです。
特にウレアーゼ産生菌の尿路感染の場合、感染症そのものでも意識障害が起こりえます。
感染症の治療をすれば当然高アンモニア血症も是正されるので
臨床上どうしても鑑別したいというものではないのかもしれませんが
やはり目の前の意識障害患者の原因が分かっているとこちらとしても気持ちが楽です。
思いつきで恐縮ですが、呼吸性アルカローシスがあるときにアンモニアを測定する、というのは銅でしょうか。
UpToDate: Urea cycle disorder: Clinical features and diagnosisには以下の記載があります。
"Hyperventilation is thought to result from cerebral edema caused by the accumulation of ammonia and other metabolites."
感染症(特に尿路感染)が疑わしくて意識障害がある場合、とくに呼吸数20/min以上の場合は
全例血液ガスをとると思いますので、あながち無理のないプラクティスかとも思います。
尿路感染症の場合は、アルカリ尿や尿中結石の存在も傍証になると考えられます。
アルカリ尿がもっともわかりやすい所見でしょう。
参考:UpToDate: Hepatic encephalopathy in adults: Clinical manifestations and diagnosis
~Clinical Pealrs~
意識障害のある尿路感染患者で、呼吸性アルカローシスまたはアルカリ尿をみたら、血清アンモニア値を調べてもいいかもしれない。
肝性脳症の診断は臨床所見に基づいて行う。