2015年9月6日日曜日
悪性症候群とセロトニン症候群
救急外来で鑑別診断としてよく出てくるけどまだホンモノには出会っていないです。
起因薬剤を飲んでいる方にはよく出会うので、そのうち遭遇するかもしれません。
悪性症候群は、抗精神病薬を代表とするドパミン遮断薬を投与している患者でおこります。
初回投与でも起こりうるし、同一の薬剤を長年飲んでいても起こることがあります。
用量が少ないから起こらないというものでもありません。
以下の4症状のうち2つ以上当てはまれば悪性症候群を強く疑います。
なお、ほぼ全患者で最低でも1つあてはまります。
・精神症状(82%)
興奮・錯乱状態が多いですが、緊張病・緘黙状態となることもあります。
・筋強直
鉛管様強直~歯車様強直となったり、震戦・筋緊張亢進・後弓反張・咬痙・舞踏運動などの不随意運動が出ます。ドパミン遮断状態ですから納得です。
・高体温
38℃以上が87%、40℃以上が40%を占めます。
・心機能異常
頻脈(88%)、血圧不安定もしくは高血圧(61-77%)、頻呼吸(73%)などです。
不整脈や発汗が出ることも。
悪性症候群との鑑別が問われるのがセロトニン症候群です。
原因となる薬剤が異なるのと、症状も微妙に違います。
Hunter criteriaによると、SSRIなどセロトニン系薬剤を服用していて、以下の1つでも当てはまると診断となります。
・自発的なクローヌス
・誘発クローヌスに加え興奮または発汗
・眼球クローヌスに加え興奮または発汗
・震戦と腱反射亢進
・筋緊張亢進
・38℃以上に加え眼球クローヌスまたは誘発クローヌス
筋がこわばるのが悪性症候群
筋が過敏になるのがセロトニン症候群
というイメージですかね。
参考:UpToDate Neuroleptic malignant syndrome, Serotonin syndrome