2015年9月26日土曜日
男性介護者の特徴
男性の介護者の特徴として
「細かいことまで没頭してしまい、他人の助けを足りない」
という方が一定数いらっしゃるなという感覚が学生時代からありました。
P. B. Harrisが1993年に発表した論文(The Gerontologist 33(4):551-556)で
男性の介護者を4つに類型化しています。
読んでいて、なるほどと思ったのでまとめてみます。
(以下の記述は、立命館産業社会論集45(1):171-188を参考にしています。)
①the worker
介護を仕事の延長線上に捉え、合理的にそつなくこなしていくタイプです。
家事や身の回りの世話など、従来のジェンダーとしては女性の役割とみなされる介護を
男性的に行うタイプであり、どちらかというとうまくいきやすいかたちです。
②the labor of love
愛情をもって介護者に接するがあまり、あらゆる時間とエネルギーを注ぎ込むタイプです。
社会的孤立が深まりやすく、言い方は不適切ですが自分で自分の首を絞めかねないです。
僕が抱いていたイメージはこのタイプですね。
③the sense of duty
介護を義務としてとらえ、可能な限り介護と自分の生活を分けようとするタイプです。
訪問診療に行っても自分の部屋から出てこない介護者とかはこのタイプですね。
④at the crossroad
介護という「予期せぬキャリア」により、自分の役割とアイデンティティをマネジメントできず、人生の方向性を失っているタイプです。
まさにライフサイクルの「岐路に立って」いる状態です。
上のタイプと比較しても、早急なサポートが必要だとされています。
2006年の日本の調査では、男性介護者の年代は70歳代が最も多く、(平均69.3歳)57.3%が通院しているため、介護と自らの健康という二重の負担がかかっている方が多いです。
また、74%が定職についていませんが、そのうちの21.6%が介護を理由に仕事を辞めています。
介護と仕事の両立が難しく経済的に困窮する危険性があるのに加えて、上記の④at the crossroadに陥りやすい方が一定数いるということです。
また、非常に変な話なのですが、同居家族がいるとヘルパーは生活援助できないことになっているため、今まで家事をしてこなかった男性介護者にもすべての家事の負担がかかってしまうことになります。
男性介護者に出会ったときに、上記のどのタイプなのだろうと考えることで
より適切な対処が取れる可能性が上がるとおもいます。