2015年9月14日月曜日

ギランバレー症候群の亜型


ここ2週間で、Bickerstaff型脳炎についての記載を続けてみたので
理解を深める機会だと思いまとめてみます。

ギランバレー症候群にはさまざまな亜型があります。

圧倒的に多いのがAcute inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy(AIDP)で、一般的にギランバレー症候群といったらこれを意味します。
進行性・対称性の筋力低下に加え、腱反射消失がみられます。

Acute motor axonal neuropathyは、AIDPと似ているところも多いですが、特徴は腱反射が消失しないこと、感覚神経が障害されないこと、運動神経が選択的に障害されること、生理検査で脱髄障害ではなくて軸索障害のパターンをとることです。
日本の若者で多く、大抵の場合はC. jejuniの感染が先行します。
進行すると、Acute motor and sensory axonal neuropathyとなります。

Miller Fisher syndromeは、外眼筋麻痺、失調、腱反射消失を三徴とします。
Bickerstaff encephalitisはMiller Fisher syndrome + 脳症を伴う脳幹炎 + 腱反射亢進です。
Pharyngeal-cervical-brachial weaknessは、口咽頭、頸部、肩の筋力が急性に低下し、嚥下困難を伴います。下肢筋力や下肢腱反射は保たれています。
この3つは、GQ1b抗体が陽性となり、IVIGが有効となります。


臨床では当然、ギランバレー症候群とそれ以外の疾患の鑑別のほうが大事だとは思うのですが
少なくともAIDPとAcute motor axonal neuropathyのイメージは持っておいた方がいいと感じました。


参考:UpToDate Clinical features and diagnosis of Guillain-Barré syndrome in adults