2015年9月24日木曜日

ねこひっかき病について



ねこひっかき病の患者さんがいらしたので勉強してみました。


猫による外傷部位に発赤が生じ、2週間ほどで局所のリンパ節腫脹が生じます。
主な原因菌はBartonella henselaeです。
診断は臨床的に行います。抗体検査もないことはないようですが信頼性に乏しいです。

多くは対症療法で良いそうです。自然と症状は消失します。
発熱はあるときもないときもあります。

重症例では以下のように抗菌薬を用いることもあります。
・AZM 初日500mg/day→2~5日目は250mg/day
・CAM 400mg/day 分2

局所の発赤は長いと数週間持続し、リンパ節腫脹の改善には数カ月かかることもあるため
症状がなくなるまで治療ということにはならないです。


ごくまれに、中枢神経、眼、肝臓、脾臓に感染が広がることがあります。

中枢神経系では、脳炎、脊髄炎、小脳性運動失調などが起こります。
肝脾腫を呈する場合では、末梢リンパ節腫脹は生じないため、不明熱となります。

眼病変では以下の症状が起こります。
・Parinaud眼腺症候群
 片側性肉芽腫性結膜炎+同側の著明なリンパ節腫脹

・視神経網膜炎
 急性の視力障害、視神経の浮腫、黄斑部の滲出性変化


B. henselaeは、HIV患者に感染すると、細菌性血管腫や感染性心内膜炎を生じることがあります。
USMLEの問題ではよく問われる知識ですが、やはりHIV患者が多いのでしょうか。


参考:レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版