2021年7月23日金曜日

patient-guided tourによる障害者のプライマリケア受診経験の探索

 Walji S, Carroll JC, Haber C. Experiences of patients with a disability in receiving primary health care: Using experience-based design for quality improvement. Can Fam Physician. 2021 Jul;67(7):517-524. doi: 10.46747/cfp.6707517. PMID: 34261715.

https://www.cfp.ca/content/67/7/517?rss=1


目的 

patient-guided tourを用いて、障害のある患者がプライマリケアを受ける経験を洞察し、改善策を提案すること


方法 

patient-guided tourを用いた、経験に基づくデザインの質的研究。


セッティング

都市部のアカデミックなプライマリケア診療所。


参加者 

障害があると医療従事者が同定した患者。


方法 

患者は「典型的な受診」でしているのと同じように診療所内を歩き、その都度自分の気持ちや経験を説明した。研究者は、半構造化インタビューガイドを用いて、患者の語りを促した。ツアーの様子は録音され、文字おこしされた。テーマティックな内容分析を行った。


主な結果 

参加者は、様々な障害(身体障害、感覚障害、慢性疾患、精神疾患、学習障害、発達障害)がある18名の患者であった。強固な正の人間関係、特にチームや事務スタッフとの良好な関係が、ケアの利用や体験の認識に大きな影響を与えていた。多角的で、明確で、尊敬に満ちたコミュニケーションは,患者の経験を劇的に改善する独立した因子であった。参加者は、アクセス、調整、物理的な障害の多くが、チームの関係とコミュニケーションによって緩和されたと述べた。物理的なスペースや建物の問題は、身体的にも精神的にも障害のある人にとって厄介なものであった。各参加者の障害自体は、参加者の経験に影響を与えていたものの、人間関係、コミュニケーション、空間的な課題ほど顕著には語られなかった。参加者は、patient-guided tourは、経験や感情を引き出すのに価値が高い方法であると述べた。


結論 

医療チームの中には、人間関係やコミュニケーションが、障害者のヘルスケアのあらゆる側面に影響を与えることを知らない人もいる。これらの知見を医療機関や組織で強調することで、より患者を中心としたケアモデルが促されるかもしれない。私たちが行った、patient-guided tourからなる経験ベースのデザインは、障害者がどのようにケアを経験したかを評価するのに効果的であった。


感想

patient-guided tourというやり方があるのですね.これは非常に有効な方法論であるように思います.高齢者や介護者でも応用可能ですし,「施設入居者の急変で救急外来に同伴した施設スタッフ」を対象に研究したら意義深いデータが得られるのではと直感的に思いました.