2021年7月10日土曜日

脳血管障害患者に対する心房細動検出のNNS

Ori Liran, Tamar Banon & Alon Grossman (2021) Detection of occult atrial fibrillation with 24-hour ECG after cryptogenic acute stroke or transient ischaemic attack: A retrospective cross-sectional study in a primary care database in Israel, European Journal of General Practice, 27:1, 152-157, DOI: 10.1080/13814788.2021.1947237


背景

潜在性心房細動による虚血性脳卒中や脳血管障害(CVA)は、深刻な罹患率や死亡率を引き起こす可能性がある。潜在性心房細動の診断は困難であり、最適なスクリーニングの期間については意見が一致していない。虚血性CVA後の潜伏心房細動を検出するために、24時間ホルター心電図がよく用いられる。


目的

プライマリケアにおける24時間ホルター心電図による潜在性心房細動の検出率を示すとともに、独立変数の記述的解析を行い、心房細動が検出された患者と検出されなかった患者を比較する。


方法

このレトロスペクティブ横断研究では、プライマリケアデータを活用し、2013年1月1日から2019年6月1日の間に、新たなCVAまたは一過性脳虚血発作(TIA)の診断を受け、6か月以内に24時間ホルター検査を受けた50歳以上の患者を対象とした。分析には、心房細動または心房粗動(AFL)が検出された患者とそうでない患者の人口統計および臨床特性を比較する記述統計が含まれた。


結果

対象患者5015人のうち、66人(1.3%)が心房細動/AFLと診断され、NNS(Number needed to screen)は88.5人であった。心房細動/AFLを検出しなかった患者と比較して、診断された患者は高齢であり(75.42±7.89対69.89±9.88、p=0.050)、高血圧(80.3対66.8、p=0.021)および慢性腎臓病(CKD)(71.2対44.2、p<0.001)の有病率が高かった。


結論

24時間ホルターは心房細動/AFLの検出率が低い。高齢者や高血圧、CKD患者は、この方法で心房細動/AFLを検出する可能性が高い。


感想

プライマリケアにおいて脳血管障害患者の24時間ホルターによる心房細動検出のNNSは86である(人数なので繰り上げて整数にするのが本来)というのは重要な疫学的データだと思います.正直,それ以上の含意をこのデータから導くのはどうかなと.脳血管障害患者の心房細動検出は様々な方法が試されていますが,現実的なのはウェアラブル端末でしょうか.遠くない未来には,脳梗塞患者にapple watchをつけてもらうのが標準ケアになるのかもしれません.