Kuberska K, Scheibl F, Sinnott C, Sheppard JP, Lown M, Williams M, Payne RA, Mant J, McManus RJ, Burt J. GPs' mindlines on deprescribing antihypertensives in older patients with multimorbidity: a qualitative study in English general practice. Br J Gen Pract. 2020 Dec 22:bjgp21X714305. doi: 10.3399/bjgp21X714305. Epub ahead of print. PMID: 34001537.
背景
multimorbidityを抱える高齢者の高血圧を最適に管理することは、プライマリ・ケア診療の基本である。高齢者の治療では個人に合わせたアプローチが重視されているが、GPが治療による潜在的な利益よりも潜在的なリスクの方が大きいと懸念している場合に、どのようにして減薬を実現するかについての指針はほとんどない。このような状況では、マインドライン(複数の情報源から時間をかけて作成された暗黙の内在化されたガイドライン)が特に重要であると考えられる。
目的
マインドラインの概念を用いて、80歳以上のmultimorbidity患者の降圧に関するGPの意思決定を調査する。
デザインと設定
英国のGP診療所を舞台にした質的インタビュー研究。
方法
イングランド東部の7つの診療所の15人のGPとの対面インタビューをテーマ分析し、カルテによる外的刺激による想起アプローチを用いて、高血圧を伴うmultimorbidityの高齢患者の治療アプローチを探った。
結果
GPは、転倒や薬物有害事象などのきっかけがあれば、multimorbidityの高齢患者に降圧薬を減薬する決定を下すことに自信を持っている。GPは、ポリファーマシーに関する一般的な懸念に対して減薬を試みることにはあまり自信がなく、意思決定のために複数の情報源(利用可能なエビデンス、共有された経験的知識、非臨床的要因を含む)を理解するよう努力している。
結論
ポリファーマシーに関する懸念に対応して、いつ、どのように減薬を試みるかについて、明確なエビデンスベースがない中で、GPは実践的な経験を通じて時間をかけて「マインドライン」を構築する。複雑な意思決定を行うためのこれらの暗黙のアプローチは、減薬を試みる自信を深めるために重要であり、反省的実践によって強化される可能性がある。
感想
家庭医にとって自分のマインドラインを自覚することはとても大事です.どのように自分のマインドラインが構築されており,どのように活用しているのかを自覚することが,診療の質を担保する一つの方法だと思います.この研究はmultimorbidityの高齢者の降圧薬減薬がテーマですが,イベントをきっかけに減薬するというのは自分も確かにそうだと思います.