今週のNEJM Review Articleは、炎症性筋疾患についてでした。
4つの疾患の臨床的特徴を中心にまとめてみます。
Inflammatory Muscle Diseases
N Engl J Med 2015; 372:1734-1747
・皮膚筋炎
有名なヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候の他にも特徴的な皮疹があります。
画像はhttp://www.rheumtutor.com/dermatomyositis/より引用。
ちなみに、日本人だとヘリオトロープ疹は赤褐色みたいになります。
皮膚症状のみという場合もあり、amyopathic dermatomyositisといいます。
その場合でも、検査をしてみると筋障害が見つかることが多いです。
悪性腫瘍の合併に注意です。発症後3~5年以内に9~32%の患者さんに癌が見つかります。
・皮膚筋炎
この疾患自体は稀であり、他の疾患を皮膚筋炎だと誤診することが多いみたいです。
基本的には除外診断であるということを押さえておきましょう。
鑑別は他の炎症性筋疾患にくわえ、成人発症の筋ジストロフィー、薬剤や内分泌疾患によるミオパチーやニューロパチーなどです。
抗シンセターゼ抗体陽性の患者は、間質性肺炎、関節痛、発熱、機械工の手などがみられることがあります。“抗シンセターゼ抗体症候群”といいます。
・自己免疫性壊死性筋炎
上の2つと比べ、発症が急性となることもあること、CK値が異常に高くなることが特徴です。
特発することもありますが、ウイルス感染、スタチン投与、悪性腫瘍に続発することもあります。
スタチンをやめた後も悪化していくミオパチーをみたら本症を考えましょう。
・封入体筋炎
上の3つと比べて異質な存在です。
○数か月~数年でゆっくり進行していく
○遠位筋も侵されやすい→ボタンをとめにくい等の症状も
○特に前腕や大腿四頭筋が侵されやすい→転倒の危険高い
○顔面や体幹の筋も侵されることがある→脊椎が曲がる、首がうなだれる
○左右非対称になることもある
○50%以上で嚥下困難が出る
○50歳以上の高齢男性で多い
○ステロイドや免疫抑制剤が効かない→嚥下困難にはIVIgが有用かも
皮膚筋炎だと思ってステロイド使っていたけど一向に良くならないときとかに本症を疑います。